被災木利活用に広がり いわて県産木材利用促進協で取組報告 さらなる普及、啓発へ計画策定も
令和8年9月12日付 1面
県による令和8年度いわて県産木材等利用促進協議会が10日、盛岡市のエスポワールいわてで開かれ、昨年2月に発生した大船渡市大規模林野火災での被災木の利用促進に向けた取り組みが報告された。県だけでなく、木材産業の各種団体・組織が独自性ある活動を展開。この日の協議では、8~9年度を期間とする第3期県産木材等利用促進行動計画に林野火災被災木利用促進に向けた普及啓発を盛り込む方針も承認した。(佐々木貴大、佐藤 壮)
大船渡市大規模林野火災では、延焼面積は3370㌶と昭和39年以降の林野火災では最大に及んだ。さらに、今年4月には、大槌町でも大規模林野火災が発生。いずれの被災地でも今後、森林再生に向けた被災木の伐採が見込まれる中、木材としての利用促進が課題となっている。
報告によると、県の取り組みとして紹介された事例のうち、京都大、東北大と被災木の共同調査の結果として、昨年時点の大船渡市での被災木の強度は健全木と遜色がないと判明したことが示された。
ノースジャパン素材流通協同組合(鈴木信哉理事長)では令和7年度、山主に原木代金を返すため、被災木が健全なうちに通常の価格で販売。合板工場と調整し、本年度も継続して納入するという。
また、県木材産業協同組合(日當和孝理事長)は、昨年10月の「気仙スギまつり」と「盛岡市農業まつり」、今年2月に東京都で開催された「WOODコレクション(モクコレ)2026」で、大船渡市大規模林野火災の被災木を生かしたコースターを配布。県建築士事務所協会(村上学会長)では講演会を通じ利用の促進を図った。
また、被災木の活用事例として▽盛岡駅構内の木質化(JR東日本)▽店舗の木質化(マクドナルド大船渡店)▽被災木を活用したビル新築工事休憩所(東京海上ホールディングス丸の内)▽治山ダム工事の残存型枠(県)──も示された。さらに、今年6月に被災木を有効利用する取り組みの提案、実行に向けて組織された、民間企業などの有志による「TEAM(チーム)森林再生大船渡」の活動内容や、合板といった主な製品も確認した。
協議会に出席した達増拓也知事は「林野火災は世界的な気候変動の時代において注意しなければいけないことであり、森林再生の重要性を岩手から発信できれば。民間事業者の取り組みも特徴的で、広がってほしい」と評価した。
大船渡市では森林再生に向け、激甚災害指定に伴う森林復旧事業が柱となる。独自に下草刈り費用や森林保険加入費用を補助するなど、所有者負担を抑えた形での私有林再生に取り組む。
被災森林全体で、水環境をはじめ多面的機能の回復を図る方針。今後は伐採が本格化する一方、歳月を重ねるにつれて被災木の品質にも差が生じることも考えられる中、多角的な利活用策が求められる。
この日は第2期行動計画(令和5~8年度)実績を踏まえた現状・課題も整理。林野火災被災木の有効活用に向けた需要創出に加え、科学的根拠に基づく有効利用を促進するため、被災木の継続評価の必要性、延焼しにくい多様な林相への誘導などが課題として上がった。
第3期行動計画案のうち、9年度からの新たな取り組みとして林野火災関連では▽被災木の力学・化学特性の評価▽緊急時の利用に備えた適切な林道維持管理の徹底▽被災木の利用意義等の普及啓発──などが盛り込まれた。パブリックコメントや同協議会での議論などを経て、来年3月の策定を目指す。






