県境の密漁対策へ連携 大船渡署と県警本部が訓練 気仙沼の漁港内で実施 宮城県警や海保と合同で(別写真あり)

▲ 密漁対策訓練を行う岩手県警察本部の「警備船さんりく」=宮城県気仙沼市

 岩手、宮城県境で発生する密漁事犯に備え、岩手県警察本部(小野宏樹本部長)と大船渡警察署(藤島良則署長)は17日、宮城県の警察や海上保安庁との合同対策訓練を気仙沼市大島の浦の浜漁港で行った。気仙や気仙沼市の海を警備する船が一堂に会する訓練は初めて。県境を越えて逃亡する密漁船を追い詰めて犯人を捕らえるまでを想定し、水産資源と地域漁業を守るための連携を強めた。(齊藤 拓)

 

 訓練は、県境で密漁事犯を認知した際に、両県の関係機関が連携して迅速に摘発するのが目的。同署や岩手県警察本部のほか、気仙沼、石巻両警察署、海上保安庁、水産関係者など合わせて約50人が参加した。それぞれが所有する警備艇や監視船合わせて5隻が集まって行う訓練は、今回が初めて。
 訓練は、宮城県の洋上で漁協の船がアワビの密漁船を発見して通報した──との想定で実施。県境を越えて広田湾へ逃げる密漁船を追跡する訓練と、漁港内で武器を持って抵抗する犯人を制圧する訓練を行った。
 洋上訓練では、気仙沼湾内から逃げる小型の密漁船に対し、宮城県の警備艇がサイレンを鳴らして追跡。応援要請を受けた岩手県警察本部の「警備船さんりく」などが行く手を阻み、密漁船を漁港内へ追い詰めた。また、初めての取り組みとして、現場を俯瞰するドローンも用いられた。
 漁港内の訓練では、大船渡署の署員が密漁した水産物を車両へ運び込む犯人役の警察官に職務質問。犯人が武器を持って抵抗したため、宮城県警の警察官とともに防護盾などで制圧し、逮捕するまでの流れを確認した。
 訓練後、気仙沼海上保安署の表航署長は「密漁者は県境に関係なく逃走する。海上で取り押さえるのは難しく、管轄区域をまたいだ連携や陸上と海上からの連携が必要。今後も効率的な取り締まりで、漁業の秩序を守りたい」と講評した。
 海上保安庁によると、東北地方を管轄する第二管区海上保安本部の管内では昨年、密漁などの漁業関係法令違反が239件あった。全件が底引き網漁、刺し網漁、巻き網漁などに該当しないその他の漁業形態によるもので、主な違反は漁業権侵害や水産動植物の採捕だった。
 このうち、気仙を含む釜石海上保安部管内では、同違反により60件17人の検察送致があった。
 大船渡署の藤島署長は「密漁は地域の水産資源を脅かす悪質な行為であり、対策には海上保安庁や漁業関係者と普段から緊密に連携することが重要となる。今回の訓練は違う県同士で行った点に意味があり、今後に役立てていきたい」と話した。