電子投票 正式に導入決定 来年の市長選・市議補選から 市議会定例会で条例案可決 市民に体験機会提供で周知

▲ 来年の市長選、市議補選からの導入が決まったタブレットでの電子投票

 陸前高田市は、来年1月31日告示、2月7日投開票の市長選・市議補選から、タブレット端末を活用した電子投票を導入する。東北の自治体での導入は初。市議会9月定例会に電磁的記録式投票機を用いて行う投票に関する条例案と、システム導入に係る関連費を盛り込んだ補正予算案を提出し、全会一致で可決された。紙から電子に代わることで、有権者の投票が簡便になるほか、開票、集計作業などの選挙事務にかかる時間が短縮されるメリットもある。市選挙管理委員会では今後、市民への説明や電子投票体験の機会を設け、広く周知を図る。(菅野弘大)


 電子投票は、従来の投票用紙ではなく、タブレット端末を使用して行う。端末の画面に表示された候補者名などをタッチペンで選択して投票する方式で、文字を書くことが難しい有権者でも簡単に投票を行うことが可能なほか、市長選と市議補選のように、複数の選挙の投票も一つの端末で完結する。白票を選択することもでき、記載台から投票用紙を投票箱に入れる移動の負担もない。
 投票データは、端末内のUSBメモリーやSDカードに暗号化して保存。使用する端末はネットワークに接続されておらず、ハッキング等の心配がない。
 また、電子投票は決められた選択肢の中から選ぶため、書き間違いなどによる疑問票や案分票が出ない。投票が行われるごとにデータが蓄積、保存されていくため、集計作業も効率化されるほか、万が一機器にトラブルがあった場合でも、予備機との交換対応が容易となる。これまで数時間を要していた開票、集計作業の時間も大幅に短縮される見込みで、作業に従事する職員らの負担も軽減される。
 来年の市長選・市議補選では、有権者数に応じて各投票所に端末2、3台を設置する計画。有権者向けに操作方法などのマニュアルも作成する方針で、円滑な投票につなげる。
 総務省は令和2年、汎用性の高いタブレット端末を電子投票に使用できるよう技術的条件を改定。その後、同6年12月の大阪府四條畷市の市長選を皮切りに、宮崎県新富町、香川県善通寺市、福岡県粕屋町がタブレットを活用した電子投票を実施した。
 陸前高田市選管によると、今年8月の香川県知事選で電子投票を実施した善通寺市では、開票は10分程度で終了し、ほかの作業を含めても、前回選から1時間ほど短縮されたという。
 投票の簡便化、開票、集計の時間短縮など、多くのメリットが期待される一方、法に基づく電子投票は地方選挙のみで認められているため、国政選挙と日程が重なった場合は、電子と紙の2種類の投票方法が混在することになる。県知事選、県議選で電子投票を導入する場合は、県が新たに条例を定める必要がある。
 今月15日に行われた決算等特別委員会の条例案、補正予算案審査では、委員から「来年9月の市議選は電子投票だが、同じ投票日の県知事選、県議選は従来通り手書きでの投票になる。有権者の方々が煩雑な思いをするのでは」との指摘があった。
 市選管の千葉恭一事務局長は、電子投票を導入している他地域の事例なども引き合いに出しながら「投票される方が混乱しないことを大前提に、動線の確保といった点も含めて検討、準備を進めていきたい」と答弁した。
 市選管では今後、業者の選定を経て運用を目指す。導入にあたっては、市内各地区での説明会や、幅広い年代に対する体験会の実施も計画しており、電子投票システムの仕組み、投票手順などの周知につなげる。