新教育長人事案に不同意 議員から反対意見相次ぐ 市議会9月定例会最終本会議 10月から三役の一角空席に
令和8年9月30日付 1面
陸前高田市議会9月定例会は最終日の29日、本会議が開かれた。佐々木拓市長はこの日、教育委員会の山田市雄教育長(74)が30日で辞任するのに伴い、新教育長に大船渡市出身で元高校校長の鈴木広樹氏(63)=盛岡市=を任命する人事案を追加提案したが、反対多数で不同意となった。これにより、10月から陸前高田市教育長は不在となり、佐々木市長は「議会の方々が納得できるような説明を行いながら、なるべく早く円満に認めていただけるよう最善を尽くしたい」と述べた。(菅野弘大)
山田教育長は今月9日、「一身上の都合」として佐々木市長に辞職願を提出。任期を約2年残した中での辞任となり、24日に開かれた市教育委員会定例会で辞任への同意に関する議案が提出され、教育長を除く教育委員4人で審議のうえ、同意されていた。
本会議では、佐々木市長が後任を鈴木氏とする教育長人事案の提案理由を説明。質疑では、議員側から「説明不足」「納得できない」など反対の意見が噴出した。
木村聡議員は「任命権者である市長は、辞職の詳しい理由を把握しているか」と質問。佐々木市長は「任期途中の辞任も、さまざまな事情を勘案されたうえで、ご本人が重要な決断をされた。理由をこちらが深く詮索し、勝手な推量をするのは失礼だと思っている」などと明言を避けた。
同議員から「ご自身の言葉で、市民、教職員、子どもたちに事情を説明してもらえないか」と問われた山田教育長は「学校関係など、さまざまな方面にご迷惑をおかけしていることは百も承知のうえでの決断。一身上の都合で職を辞させていただくが、それ以上でもそれ以下でもない。大変申し訳ない」と述べた。
このあとは6議員が質疑に立ち、市長に対して「新しい人事ありきで話が進んでいるのではないか」「本市の教育は、小中学校の適正規模化や高校再編問題など重要な時期。慰留はしたのか」などと追及。11月に市制施行70周年、東日本大震災15年の式典を控える中で「疑問が残る」という声も上がった。
佐々木市長は「大原則として議会の同意を得なければならず、決して新人事ありきではない。何人かの候補者が私の心の中にあり、生徒減少といった課題に県教委などとも一体となって取り組んでいくうえで、適切な人選を行った」とし、「任期半ばで新しい教育長を提案する事態となったことは非常に残念で、申し訳ない」と語った。慰留にかかる明確な回答はなかった。
討論では、木村議員、藤倉泰治議員、伊藤明彦議員が反対の立場から登壇。複数議員が人事案に異論を唱える異例の事態となったことを受け、佐々木市長から「提案の取り下げも検討したい」との申し出があり、本会議は昼を挟んで暫時休憩に入った。
午後の会議では、提案の取り下げは行われなかった。議長を除く議員14人による起立採決の結果、賛成5、反対9の反対多数で不同意となった。市によると、教育長人事案が不同意となったのは、市制施行以来初めてという。
本会議終了後、佐々木市長は「人事を認めていただけなかったことは残念。教育長は当面空席となるが、議会の皆さまにしっかり説明し、新たな教育長を認めてもらえるよう考えていきたい」と述べた。
同日の本会議では、決算等特別委員会(藤倉泰治委員長、議長を除く全議員で構成)に審査を付託していた令和7年度一般会計と国保、後期高齢者医療、介護保険各特別会計、水道事業会計、下水道事業会計の決算6件と、追加提案された「金成水源地浄水施設(機械・電気計装設備)整備工事の請負契約締結」の議案を原案通り認定、可決。教育民生常任委に審査を付託していた請願「子どもに寄り添う時間を確保するための、2027年度政府予算に係る意見書採択について」も採択したほか、これにかかる意見書提出の発議1件も原案通り可決した。






