地域漁業 この地で再起へ 希望も新たに落成式 綾里漁協の作業保管施設 林野火災での焼失から再建
令和8年10月3日付 1面
大船渡市大規模林野火災で被災し、再建が進められてきた綾里漁業協同組合(和田豊太郎組合長)の作業保管施設がこのほど、旧施設と同じ三陸町綾里の綾里漁港で完成を迎えた。2日には落成式が開かれ、関係者らによるテープカットが行われた。火災によって定置網漁に用いる施設や多くの資材を焼失するも、昨年度は網の貸与をはじめとする各方面からの支援を受けて操業を続けてきた。関係者らは、これからの漁業の拠点となる施設の完成を受け、漁業者のなりわい再生と地域漁業の再起へ希望を新たにしている。(齊藤 拓)

水産現場の声をもとに、旧施設より高く開くシャッターが設置された
昨年2月の大規模林野火災では、綾里漁港内にあった旧施設にも火の手が及び、保管してあった2カ統分の定置網漁具やフォークリフトなども焼損。組合員の資材も含め、15億円以上の被害が発生した。5月には定置網漁が控えていた中での被災で、大入、願松両漁場での操業にも大きな影響が生じた。
和田組合長は「網がない状況で、定置網漁の乗組員を募集するかどうか判断を迫られたが、なりわい再生のためにも雇用は確保しなければならなかった」と当時を振り返る。
その中で昨年度は、定置網漁業・生鮮水産物販売などを手がける釜石市の㈲泉澤水産から網の無償貸与を受けたことで、6月から大入漁場で操業を再開。願松漁場でも、県内や北海道から借り受けた網を使用して、8月から網起こしを再開した。
一方、作業保管施設は、昨年12月に解体撤去が完了。鉄骨造2階建ての施設として、水産業被災施設復旧整備事業を活用して再建が進められてきた。総面積は旧施設と同じく約1100平方㍍で、搬入口は水産現場からの声をもとに、旧施設よりも高くシャッターが開くよう設置された。
落成式には、漁協役職員や同施設の施工関係者など約40人が出席。和田組合長は「窮地の中、多くの方々から支援と協力をいただいてこの日を迎えられた。組合員や乗組員のなりわい再生に向けて、一丸となって努力していきたい」とあいさつした。
来賓の渕上清市長は「施設の落成は、復旧への大きな節目となる。定置網の保管と補修の拠点として、作業の効率化や労働環境向上につながるものと期待している」と述べた。
続いて、同漁協の役員と来賓が搬入口前でテープカットを行い、完成を祝った。網や車両を保管している内部も公開され、出席した市や県の関係者が、被災からの復旧が進む様子を視察した。
同漁協は本年度、5月に定置網漁の初起こしを行い、操業を続けている。和田組合長は「原油高で資材価格が高騰している中、漁具は傷んでもすぐに用意できるものではない。予備資材を保管する施設があることで効率のいい操業ができるし、雨天時には作業場としても利用できる。施設の完成は、これから歩みだすための原動力になるだろう」と話した。






