「海業」推進へ協議会発足 地域経済活性化目指し漁協や漁師ら連携 綾里地区 年度内に計画策定、来年度始動
令和8年10月4日付 1面
大船渡市三陸町綾里地区で、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業「海業」を展開しようと、漁協や県、市、漁業者らでつくる推進組織が発足した。東日本大震災発生後、同地区では海業に当たる漁業体験などが盛んに行われており、そのノウハウを生かし、おのおのの取り組みを集合体としてまとめ、面的に手がけることで、より効果的に水産業への理解、水産物の消費増につなげようと関係者が手を取り合う。本年度内に事業計画をまとめ、来年度から豊かな海の資源を生かしたアクションに移る。(高橋 信)
立ち上げられた組織は「綾里地区海業推進地域協議会」。綾里漁協、綾里産の水産品販売などを行う㈱山海畑、市観光物産協会、一般社団法人大船渡地域戦略、県漁業士会大船渡支部、県大船渡水産振興センター、市などで構成し、1日、綾里漁協で初会合が開かれ、協議会の設置要綱、海業計画の策定方針を決めた。
役員選出も行われ、会長には綾里漁協の和田豊太郎組合長、副会長には山海畑の阿部正幸代表取締役が就いた。
策定方針によると、海業計画の期間は策定日から10年間。綾里地区内5漁港を拠点に、「観光(体験)」「人材」「漁業」の3分野に関する取り組みを展開する。
協議では会員から「地域に人を呼び込むことは大切なこと。ただ、観光業に携わることに苦手な漁師が大半を占め、どうやって打破するかが課題」「入り込み客数よりも連泊数やリピート数などを指標に計画を立て、この地域にどれだけお金を落としてもらえるか、稼げるかという点を重視すべき」などという意見が寄せられた。
協議会事務局は11月の次回会合で素案を示し、来年1月の第3回会合で策定を目指す。来年度以降、計画に基づき、取り組みを推進していく。
漁業を基幹産業とする綾里地区。震災発生後は市特産「恋し浜ホタテ」のブランド化に尽力した県漁業士会大船渡支部の佐々木淳支部長が「恋し浜ピクニッククルーズ」と銘打つ漁船での洋上案内を実施するなど、漁業体験や交流・関係人口増の取り組みも行われてきた。
ウニの畜養事業なども展開され、こうした海を舞台とした個別の活動・事業をチームとして展開し、地域経済活性化や漁業の持続的発展につなげようと、阿部代表取締役の発案で海業をプロジェクト化。昨年4月、綾里漁港(綾里地区)が水産庁の「海業の推進に取り組む地区」に選定され、約1年半をかけて今回の推進母体となる協議会発足にこぎ着けた。
阿部代表取締役は「それぞれの事業者がすでに取り組んでいるものがベースとなり、そうした取り組みを情報共有しながら、協議会としてブラッシュアップさせていきたい」と見据える。
和田組合長は「地域の特産や畜養ウニ、漁業を生かした観光などをさらにPRするため必要なのが『海業』となる」と意義を語り、計画推進への思いを新たにした。






