共助の重要性理解し合う 市全域で防災訓練 市民ら5705人参加 北小会場に各種体験も実施
令和8年10月6日付 1面
大船渡市と大船渡地区消防組合は4日、市全域で防災訓練を実施した。東日本大震災や県が公表した最大クラスの地震・津波と同程度の災害を想定し、市によると前年度比144人減の5705人(同日午前10時30分時点)が参加。近年の同訓練でなかった試みとして大船渡北小学校を会場に、避難所の開設や要救助者の救出などの訓練や各種体験を行い、市民らが災害発生後、公的支援が機能するまでの空白期間に求められる「共助」の重要性に理解を深めた。 (高橋 信)

大船渡消防署による放水訓練も実施=同
訓練は津波発生時の安全・迅速な避難体制と、防災関係機関相互の連携・協力体制の確立を図るため毎年実施している。
本年度は1日にマグニチュード(M)7・5、震度5弱の地震が発生し、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表され、4日午前7時30分ごろ、三陸沖を震源とする震度6弱の地震で本県沿岸部に大津波警報が出たという想定で実施。津波の最大波10㍍超、大船渡港への津波到達予想時刻は午前8時とし、市内各地で家屋の損壊、停電、断水、孤立地域の発生などが確認され、地震に伴う建物火災も想定に含めて行った。
大船渡北小体育館では、県立大学防災復興支援センター協力のもと、避難所開設訓練を実施。市職員や地元の自主防災組織役員、地域住民、大船渡中、大船渡北小の児童・生徒、教員ら約50人が参加し、実際の避難所開設時に使うパーティションや段ボールベッドの組み立てを体験した。
講師を務めた同センターの杉安和也副センター長は、避難者受け入れ時の確認事項や避難所を設ける際の注意点を解説。体育館内には防災資機材の展示、新聞紙を使った簡易スリッパ製作、ドローン操作、救命講習などの各種体験コーナーも設けられた。
屋外では、大船渡消防署がはしご車による救出訓練、放水訓練を展開。消防隊員が屋上に取り残された要救助者を救出し、最大地上高26㍍まで伸ばしたバスケットから火点に向かって放水した。市赤十字奉仕団の炊き出し訓練も繰り広げられた。
大船渡中の熊谷晴輝さん(3年)は「自分のためになると思って訓練に参加した。災害は命に関わること。自分たちは震災を経験していないからこそ、先輩や地域の方々から震災のことを継承したい」と気を引き締めた。
上山町内自主防災組織の田野崎重徳会長(70)は「北小は実際に避難所となった場所だし、地元の上山公民館でも仮設住宅ができるまで避難者が過ごした。避難所開設訓練は当時を振り返ることにもつながる」と意義を語った。
この日、市内の各自主防災組織は津波ハザードマップを活用した避難場所、避難経路の確認などを実施。市災害対策本部は関係機関への支援要請、防災行政無線を活用した情報伝達訓練を行った。
市によると、参加機関は盛岡地方気象台、釜石海上保安部、県、大船渡警察署をはじめ、前年度比10増の48機関で、人数は764人。このほかの自主防災組織を含む一般参加者は4941人だった。
渕上清市長は「段ボールベッドの組み立ては、市民もこれまであまり体験できなかった訓練だと思う。子どもから高齢者まで幅広い世代の人に参加してもらえたことも良かった。当市は震災を経験し、昨年2月に大規模林野火災にも見舞われた。人命が第一であり、災禍の教訓を後世に伝えるため、今後もさまざまな災害を想定した訓練を徹底していきたい」と総括した。






