防水シートに一定効果 陸上展示の「気仙丸」保全プロジェクト 見学、検証で一時取り外し(別写真あり)
令和8年10月8日付 1面
大船渡市大船渡町で陸上展示されている木造千石船の復元船「気仙丸」で6日、7月に装着した防水シートの取り外し作業が行われた。今月10(土)、11(日)の両日に予定している「ふれあい展示会」での見学対応に加え、シート装着後の保存状態確認が狙い。帆柱をはじめシートに覆われていた部分は、乾燥した状態でキノコ類の付着はほぼ見られず、一定の効果が確認できた。椿油や木材保護塗料の塗布などを経て、再び今月中にシートを取り付ける。(佐藤 壮)
気仙丸は平成3年に完成し、翌年の「三陸・海の博覧会」に協賛出品後は、大船渡湾内で係留されていた。令和2年に陸揚げして液体ガラス塗装や補修を施し、3年10月から展示が始まった。
その後、風雨や紫外線で船体の老朽化が進み、特に船室の「屋根」ともいうべき甲板部分からの浸水が課題となっていた。船を所有する大船渡商工会議所などで構成する千石船「気仙丸」利活用推進協議会(会長・米谷春夫商議所会頭)は、7年度に保全プロジェクトを本格化させた。
昨年10~12月にはクラウドファンディングに挑戦。目標金額300万円に対し、地元内外から316万円が集まった。さらに、協議会に直接46万円の寄付が寄せられた。
この支援を財源に、今年7月、船尾側の甲板や、長さ17㍍に及ぶスギの一本材で仕上げられた帆柱に防水シートを施工した。取り外し作業は、シート製作を担った佐々木シート(立根町)の佐々木嘉幸代表(67)のほか、商工会議所職員3人で行った。
甲板、帆柱とも、シートは基本的にはひもで結び付け、機械を使わず装着、取り外しが可能。外したシートは折りたたんで船内に格納し、作業は1時間足らずで終了した。これまで、眺めることができなかった帆柱や、船側面の「垣立」の一部が目にでき、陸上展示が始まった5年前の姿に戻った。
3カ月ぶりにあらわになった各部材は、商議所職員が目視や手で触れるなどして状態を確認。帆柱で装着前に見られていたキノコやコケ類の発生はなく、木材保護塗料の塗布部分では、乾燥した状態で色落ちの進行も抑えられていた。
甲板部分の低い位置のシートは四角い穴を開け、そこから筒状のシートをつないで船の外に延ばし、雨水を排出させる構造としていた。展示場所の路面全体が乾いていた中、雨水の排出先のみが濡れており、甲板に水がたまりにくい状況も確認できた。
一方、商議所職員からは部材の一部で黒ずみの指摘も。甲板部分でも傷みの進行が見られたため、同協議会では、シートの取り外し期間を生かして対策を施すことにしている。
佐々木代表は「シートを付けたことで湿気が逃げない点による影響を心配していたが、状態は思っていたよりも良い。シートの下も空気が循環していたと思う。このように取り外して〝干す〟ことも大事」と話した。
気仙丸の「ふれあい展示会」は10、11の両日、いずれも午前10時~午後3時に開催。ガイドによる船内見学は、午前10時30分、午後0時30分、同1時30分にそれぞれ約40分間開催。この時間以外でも見学できるほか、午前10時から1時間ごとに各10人限定で「あわびの貝がらストラップづくり体験」も計画している。
7月の保全プロジェクトでは、木材保護塗料に加え、気仙で産出・加工された椿油の塗布が行われた。椿油は、水をはじき、抗酸化力が高い。さらに地元資源による保存展開というストーリー形成による情報発信の充実も見据えており、取り外し期間を生かして再び塗布を行うことにしている。
10月中には再びシートの装着を計画。今後は、船首側の上部にも新たなシートを付け、紫外線や風雨などによる傷みの進行を防ぐことにしている。






