温かい響きに聴き入る 被災のリードオルガン 市立博物館で演奏会 村上斐さんの親族らも来館(別写真あり)
令和8年10月12日付 7面
陸前高田市立博物館(菅野義則館長)による演奏会「甦ったリードオルガンの音色を聴こう!」は10日、高田町の同館で開かれた。このオルガンは東日本大震災で被災後、修復を経て一般展示されているもの。この日は、気仙初の幼稚園・私立高田幼稚園(現・市立高田保育所)にこのオルガンを設け、市内の「幼児教育の先駆者」といわれた故・村上斐さんの親族らも訪れ、懐かしさあふれる温かい響きに聴き入った。(三浦佳恵)
このオルガンは、三省堂器械標本部が海保オルガンに委託して製造販売した「海保製リードオルガン」で、現存するのは3台のみという。昭和6年から29年間にわたり、同園や市立高田保育園、市立高田保育所で幼児教育のために使われたあと、平成16年に村上さんの息子・三吾さん(故人)が市立博物館へと寄贈した。
23年の震災発生時は当時の博物館施設で保管されており、津波で被災。25年から26年にかけ、日本リードオルガン協会(中村証二会長)の支援により、長野県の和久井工房で修復された。
演奏会は、オルガンの音出し調整作業の一部として実施。中村会長(64)=香川県善通寺市=と、同協会員で和久井工房の和久井真人さん(59)=静岡県浜松市=が来館し、中村会長が演奏を行った。
この日は2回開かれ、合わせて約80人が来場。2回目の演奏には、三吾さんの妻・れふ子さん(96)=神奈川県三浦市=ら親族も足を運んだ。
中村さんは各回で曲目を変えながら、『月の沙漠』『もみじ』『星に願いを』『家路より』などを披露。使用当時の音を残す形で修復されたというオルガンからは、重厚でありながらも優しく、温かい音が奏でられ、来館者らはその音色をじっくりと堪能した。
れふ子さんは、今回初めて修復したオルガンの音を聴いたといい、「初めて来られて感激した。(被災により)オルガンが少し弱ったかと思って眺めていたが、非常に心に落ちてくるような強い音が静かに上ってきた。たくさんの曲を聴けてありがたかった。斐さんも喜んでいると思う。機会があればまた聴きに来たい」と喜んだ。
中村さんは「楽器は弾かなければ不具合が生じてしまう。使うことがコンディション維持にとても大切。津波から復元されたものを、音色を聴いてもらえるようにと維持している博物館の対応をありがたく思う」と話していた。






