「梯子虎舞」など勇壮に 青空の下 2地区で大祭
令和8年10月12日付 1面
10年ぶりの通常開催に/横田・熊野神社
陸前高田市横田町に鎮座する熊野神社(紺野幸宏宮司)の五年大祭(実行委員会主催)は11日、同町内で催行された。平成28年以来10年ぶりの通常開催。暑さを感じるほどの青空の下、余興奉納の目玉である「梯子虎舞」をはじめ、町内1~8区の町民らが練習を重ねてきた各地域の郷土芸能などが披露され、活気に満ちあふれた。
鎮座から536年となる同神社。5年に1度の大祭は、五穀豊穣や大漁、家内安全などを祈願するもので、東日本大震災が発生した平成23年は開催を見送り、同28年に10年ぶりに催行された。
5年前の令和3年は新型コロナウイルス禍で神事のみ実施。今回は、神社本庁・県神社庁による「第3期過疎地域等神社活性化推進事業」の指定も受け、10年というブランクを抱えながらも、関係者らが綿密に準備を進めてきた。
神社での神事に続いて、御輿渡御や大名行列が出発。稲刈りシーズンを迎えて黄金色に輝く田んぼを横目に、女性陣による傘を使った手踊りなどの華やかな列が御旅所を目指して練り歩いた。実行委員長を務めた菅野淳総代長(81)は「先月は雨続きでどうなるかとも思ったが、きょうはみんなの思いが届いたような天気になった」と表情を和らげた。
御旅所の一つである2区会館では、御旅所祭のあと、同神社がある横田町本宿に伝わる梯子虎舞が披露された。踊りを担う2区青年会(菅野隼会長)のメンバーらが、長さ約15㍍、垂直高約13㍍のはしごに登り、勇壮な舞を見せた。
はしごの頂上では、才坊振りが上半身をのけぞらせたり、片手でぶら下がるなどの妙技を披露。3人で表現する虎も、はしご上で役割を入れ替えながら、迫力ある動きで魅了した。観客らは高所での踊りにくぎ付けの様子で、大技が決まると拍手や歓声でたたえた。
菅野会長(40)は「練習ではうまくいかないことも多かったが、けがなく披露できて良かった。地域の伝統をつないでいる実感はあまりないが、これから下の世代が一緒に取り組んでくれたらうれしい」と期待を込めた。
2区会館に設置された屋外舞台で行われた余興奉納では、槻沢剣舞、金成百姓踊り、舞出鹿踊りなど、各地区の芸能が披露されたほか、横田保育園児による遊戯、横田小児童による若竹太鼓といった子どもたちのかわいらしいステージの時間も設けられた。
紺野宮司(51)は「10年ぶりの開催で、天気にも恵まれた。町民の皆さんや子どもたちの笑顔を見ることができて、素晴らしい一日になった」と話していた。
住民一丸で伝統つなぐ/広田・鶴樹神社

市指定無形民俗文化財・根岬梯子虎舞が披露された根岬・鶴樹神社大祭
陸前高田市広田町根岬に鎮座する鶴樹神社の例大祭は同日、根岬漁港広場で挙行された。4年に1度の祭事だが、前回の令和4年は新型コロナウイルスの影響で中止しており、8年ぶりの実施。すがすがしい秋晴れのもと、みこしの巡行や市指定無形民俗文化財・根岬梯子虎舞などの余興が繰り広げられ、地域住民らが一丸となって伝統をつないだ。
例大祭は、海上や家内の安全、無病息災、大漁万作などを祈願するもので、祭典実行委員会(菅野富久司委員長)が主催。世代を超えた地域住民らが参加し、準備を進めてきた。
当日は好天に恵まれ、会場となった漁港には多くの見物人が訪れた。余興奉納では、根岬梯子虎舞、子ども七福神、地元の太鼓団体「赤磯太鼓─ARATA─」の演奏が行われた。
このうち、根岬梯子虎舞は200年以上前から地元に伝わる郷土芸能で、正式には「風流唐獅子曲乗りの体」と呼ばれる。出雲へ向かう一行の前に現れた荒獅子を、才坊衆の若者が誘い出す様子を表現したものという。
会場には高さ約20㍍のはしごが用意され、根岬梯子虎舞組(組頭・菅野修一さん)のメンバーが3人の才坊と2頭の虎を演じた。虎と才坊らは太鼓と笛のおはやしに乗せてダイナミックな妙技の数々を披露し、会場からは大きな拍手がわき起こった。また、みこしの巡行に合わせても演舞を奉納した。
赤磯太鼓のメンバーらは、息の合ったばちさばきと勇壮な太鼓の響きで見物人らを魅了。子ども七福神には初の大祭となった地域の小学生たちが出演し、大黒天や弁財天などにふんして見事な舞で福を呼び込んだ。
毘沙門天を演じた菅野蒼翔さん(広田小6年)は、「お祭りも七福神を踊るのも初めて。練習は大変だったし、よろいを着けていたので動きにくかったけれど、練習と同じようにできてよかった」と振り返った。
菅野実行委員長(67)は「素晴らしい天気に恵まれて8年ぶりに実施できたのは、皆さんのおかげ」と感謝し、「人口が減って祭りの維持が難しくなっているが、できる限りは地域の伝統をつないでいきたい」と話していた。






