多様な知見 復興の力に 大規模林野火災 総合調査研究グループに感謝状(別写真あり)

▲ 感謝状贈呈を受け、今後の継続的な調査活動に意欲を見せる(左から)柴山准教授、桑名教授、峠准教授

 昨年2月に発生した大船渡市大規模林野火災の復旧・復興に貢献したとして、同市は16日、国内の大学や消防庁消防研究センターなどの研究者が参画する「突発科研費大船渡市山林火災総合調査研究グループ」に感謝状を贈った。幅広い分野の研究者が参画し、林野火災への備えにつながる知見の共有や、全国への発信などを高く評価。森林再生をはじめ息の長い復旧・復興への取り組みが求められる中、同グループ関係者は継続的な調査活動に意欲を見せた。
 市役所で開かれた贈呈式には、研究グループ代表を務める東京理科大学の桑名一徳教授(53)と、千葉大学の峠嘉哉准教授(38)、東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛准教授(50)が出席。市側は渕上清市長や新沼晶彦総務部長、松川俊一林野火災対策局長らが並んだ。
 感謝状を手渡した渕上市長は「今後の防災対策に資する貴重な知見を示していただいた。大変意義ある取り組みで、市民を代表して感謝の意を表したい。構築されたネットワークを生かし、継続的な情報交換などを通じて、防災・減災対策を一層実効性のあるものにしたい」とあいさつ。
 桑名教授は「オールジャパンの体制で研究に取り組むことができた。平成以降最大の林野火災で、市街地にも被害が及び、日本にはあまりなかったタイプの災害であり、研究を通じて重要な知見が得られた。研究そのものが終わったわけではなく、今後も成果を共有したい」と述べた。
 同グループは、文部科学省の助成事業による支援を受け▽林野火災時のリスク評価▽市街地側の調査研究▽森林生態系の物質循環に与える影響▽林野火災後の山林復興▽林野火災および市街地複合火災からの復興──各テーマに沿って調査、研究を行った。全国の各大学に加え、消防、建築の研究機関などから研究者約40人が参加した。
 林野火災に対し、火災科学や都市防災、環境動態解析、水文学など多様な分野の研究者が、幅広い角度から調査、研究を進めた体制は、全国でも珍しい。市内では今年1月に「総合調査研究現地報告会」、7月には「大規模火災に学ぶ講演会」に合わせて研究内容の一端を紹介し、避難生活をはじめ林野火災の影響を受けた住民にも研究成果を広く発信。報告書は同月、市に寄贈された。
 式後の懇談では、柴山准教授が大規模林野火災に関する特徴について「住民避難が迅速で、自助と共助が生きた。ボランティアを含め、市内で支援体制が完結していた」と指摘。峠准教授は「林野火災の発生からまだ1年半しか経過していない。焼損木の強度を考えると、これから状態が悪い木が増えていくことが予想される。情報共有をしながら、今後も研究を進めたい」と、継続的な活動の重要性を強調した。
 各研究者は今後も、被災者の住宅再建や発生からの延焼動態、被災木の経年変化などの調査を続ける方針。瞬く間に延焼が広がったメカニズムや、伐採が始まったばかりの被災人工林のあり方には市民らの関心も高く、各研究者の継続的な研究に期待が寄せられている。