市、サンマ船誘致へ補助金 「先揚げ」導入の魚市場に交付 

▲ 本州有数のサンマ水揚げ量を誇る大船渡市魚市場。市は先揚げ方式運用を後押ししようと魚市場への補助金交付に取り組む

 大船渡市は、サンマ船誘致に取り組む大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)に独自の補助金を交付する。同社は今季から、サンマ棒受網漁船の水揚げ時間を入札前に前倒しする「先揚げ方式」を導入。水揚げを早めることで、漁に向けた早期の再出港を可能とする取り組み。運用する場合、漁船側にもタンクに詰める氷代金の負担が生じるが、同社が経費の一部を支援する仕組みとなっており、市は同社負担分を全額補助することで、先揚げ方式の運用を後押しする。今季のサンマ漁は深刻な不振にあえいでおり、先揚げは現時点で実施されていないが、今後好漁となればその出番も増えそうだ。(高橋 信)

 

 市によると、近年はサンマ漁場の沖合化が進み、漁場と水揚げ地の往復に要する時間が、漁獲効率に影響を及ぼしているといい、日本近海での不漁の一因とされる。
 こうした状況を踏まえ、大船渡魚市場は入札前にあらかじめ氷を入れたタンクを用意して水揚げする「先揚げ方式」を導入。通常は午前7時以降に順次行われる入札後の水揚げ作業を、約2時間前倒しできるようにした。これにより漁船は帰港から落札までの待機時間が短縮され、漁にもより早く出られるようになる。
 通常、氷を入れたタンクや運送車両は落札した買い受け人が用意するが、先揚げ方式の場合、漁船と買い受け人、または問屋で氷代金を折半する仕組み。大船渡魚市場㈱は市からの補助金を充当し、漁船が支払う代金の2分の1を支援するため、漁船は実質代金の4分の1の負担に軽減される。
 市魚市場では今年、8月中旬に本州のトップを切ってサンマが初水揚げされた。今月13日には大型サンマ船7隻が入港し、計106㌧を水揚げした。
 大船渡魚市場㈱と県水産技術センターの水産情報配信システムによると、今月13日時点の水揚げ量は約460㌧と、前年同期(約2980㌧)の15%ほどにとどまる。平成以降で最低水準だった令和3年の同日時点の数量も下回っており、令和最多の数量を記録した昨年とは打って変わって厳しい状況が続いている。
 一般社団法人漁業情報サービスセンターが発表した本年度第3回サンマ中短期漁況予報では、三陸海域は今月下旬から魚群が来遊する見込み。
 同社の佐藤光男専務取締役は「先揚げ実施時の漁船の負担を減らし、水揚げを促進しようというありがたい支援。ただ、現時点では先揚げを実施する状況になく、心苦しい。先揚げが運用されるほどの好漁を願うばかりだ」と話した。
 市水産課の鈴木宏延課長は「氷代の負担軽減を通じて、大船渡魚市場が新たに導入する『先揚げ方式』の円滑な実施を後押しし、受け入れ環境の充実による魚市場の魅力向上を図ることで、サンマの水揚げ促進につながるよう期待している」と語った。