未来の防災 若者たちで 世界津波の日高校生サミット 陸前高田でスタディツアー(別写真あり)

▲ 「海を望む場」で献花を行うツアー参加者ら

 国連が定めた「世界津波の日」(毎年11月5日)にちなみ、世界の若い世代が災害への理解を深め、津波防災について意見を交換する「高校生サミット」は19日、陸前高田市などでスタディツアーが行われた。国内外の参加者らが、東日本大震災被災地の遺構や伝承施設などを見学したほか、復興に携わった関係者らの話も聴講。災禍の記憶を世界で共有し、次世代に伝え残そうと、若者たちが自然災害の教訓を学び、各国の未来の防災に生かす決意を新たにした。(菅野弘大)


 本県では初開催となるサミットは「わたしたちがつくる未来の防災~東日本大震災津波から15年、記憶を世界につなぎ、次世代ができるアクションを考える~」をテーマに開催。日本を含む14カ国の高校生約100人が参加し、20~22(木)の3日間、釜石市と盛岡市を会場に、防災や教訓伝承などについて検討する分科会と総会・レセプションを予定している。
 陸前高田市でのスタディツアーは、国際連携などに広いネットワークを持つ市内関係者の働きかけによって実現。使用言語は全て英語で、19日は高田町の市コミュニティホールでオリエンテーションと震災関連施設の見学を行った。
 主催者である国連ユニタールの島津準子プログラム・オフィサーのあいさつに続いて登壇した佐々木拓市長は、震災から15年の歩みや、震災を機につながった地元・高田高校と米国カリフォルニア州クレセントシティ市のデルノーテ高校との交流を紹介し「国や地域、文化、言葉が異なる中でも、災害から命や古里を守り、よりよい未来をつくりたいという思いは、国境を超えて共通するものと思う。皆さんは、これからの世界の防災を担う大切な人材。この出会いが本市と皆さんをつなぐ新たな絆となることを願う」と英語でスピーチした。
 このあと、今回の市内ツアーの行程などをコーディネートした市国際連携シニア・アドバイザーで希望郷いわて文化大使の村上清さん(67)が講話。震災当時の市内の様子や被害状況、避難所、仮設住宅、復興に向けた各種取り組み、震災後の新たなまちづくりについて、15年間の歩みを振り返った。
 一行はその後、2班に分かれ、気仙町の高田松原津波復興祈念公園や奇跡の一本松、東日本大震災津波伝承館、震災遺構の旧気仙中学校を見学。同公園の防潮堤上に設けられた「海を望む場」で黙とうと献花を行ったほか、高さ12・5㍍の防潮堤上から見渡す「災害を乗り越えたまち」の景色を目に焼き付けた。
 陸前高田ワタミオーガニックランドで昼食を取り、午後はトークセッションとして「自主防災とインクルーシブ防災」について考える時間が設けられた。市防災マイスターの集い会長の佐藤健さん(61)の震災講話などから、さまざまな面での防災について学んだ。
 ツアーには、高田、大船渡両高校の生徒計4人も参加。国外の高校生らと英語でコミュニケーションを取りながら、地元の大災害を振り返り、記憶と教訓の伝承にも意欲を見せた。
 同サミットの司会に抜てきされた高田高の千葉星輝さん(3年)は、「これまでも防災学習に取り組んできたが、国外の高校生と一緒に学ぶのは初めて。震災などの災害に関心を持って参加している人がほとんどだと思うので、(陸前高田で)聞いたこと、見たものを記憶に残してほしい」と願いを込めた。
 大船渡高の小松柚葵さん(2年)は小友町出身。「震災を直接経験した人が少なくなっている中で、陸前高田での学びは必ず未来につながる。この経験を伝承につなげていくことが大事だと思うし、私もやっていきたい」と見据えた。
 高校生たちを英語で案内した村上さんは「自然災害は防げないが、起きた時を想定した準備が大切で、これは人生においても同じこと。人生の困難をどう乗り越え、道を切り開いていくか。それぞれの国や立場の問題はあると思うが、一人一人が先頭に立って引っ張る人材になることを期待したい」と話していた。
 参加者たちはこのあと、大船渡市へと移動し、三陸鉄道盛駅から「震災学習列車」に乗車。釜石駅までの区間、三陸沿岸の復興の歩みなどについて説明を受けた。