末永く校歌 歌い継いで 震災発生直後に開校の矢作小 作曲者の太田代さん 15年余経て児童らに初指導(別写真あり)
令和8年10月25日付 7面
陸前高田市矢作町の矢作小学校(佐々木一義校長、児童25人)で23日、音楽の特別授業が行われた。講師を務めたのは、県合唱連盟顧問で同校校歌を作曲した太田代政男さん(81)=盛岡市。同校は東日本大震災発生直後、生出、矢作、下矢作の3小学校が統合して平成23年度に開校し、校歌はこの15年余りにわたって児童らに歌い継がれてきたが、太田代さんが直接子どもたちの歌声を聴き、指導をするのは初めて。児童らが思いを込めた歌声に太田代さんは感激し、末永く継承されるよう願った。(三浦佳恵)
特別授業は、公益財団法人日本教育公務員弘済会岩手支部(高橋清之支部長)による教育文化事業の一環で実施。佐々木校長のあいさつ、講師紹介などに続き、児童らが太田代さんに『矢作小学校校歌』と、29日(木)に市内で開かれる小中学校音楽会で歌う『風の道しるべ』の2曲を歌った。
このうち、「♪青いお空に 白い雲…」と始まる校歌は高田町の平牛喜孝さんが作詞したものに、太田代さんが曲をつけて誕生。2部合唱曲として仕上げ、低学年が主旋律、高学年が副旋律を歌う形で親しまれてきた。
この日も児童らは互いの気持ちを一つにし、伸びやかな歌声を披露。太田代さんは「うまいね。みんなとってもすてき。ハーモニーもすてき」などと評価し、校歌の指導に移った。
太田代さんは、校歌が生まれた経緯を紹介。平成22年12月に陸前高田市教育委員会から作曲の依頼があり、23年2月に完成したことを伝えた。
本来は、同校の開校を前にした3月15日に太田代さんが矢作町に赴き、新校歌の練習会を行う予定だったが、11日に震災が起きたため見送られた。4月上旬に手書きの楽譜などを届けに来校したものの、8月に開かれた開校式には出席がかなわず、この15年余りにわたり、直接児童らが歌う校歌を聴けなかったと明かした。
そのうえで、自ら校歌を歌唱し、子どもたちとの歌との違いを考えてもらいながら、歌い方や歌詞の表現方法などをアドバイス。『風の道しるべ』でも分かりやすく歌い方のテクニックなどを示し、「心を合わせて歌えるようになれば、もっとよくなる。いい歌声を響かせてほしい」と呼びかけた。
最後はピアノで、『イーハトーブの風』の弾き語りを披露し、子どもたちに音楽の楽しさを届けた太田代さん。児童らは熱心に聴き入り、菅野麗さん(6年)は「太田代先生に歌を褒められてうれしかった。教わる前より、みんなの歌い方に気持ちがこもっていたと感じた。発表会では全校で心を一つにして、聴く人を感動させられる声で歌いたい」と誓った。
同校校長室には15年前の4月に太田代さんが届けた手書きの楽譜などが飾られ、学校の宝の一つになっている。太田代さんはそれらも眺め、「校歌はほかの楽曲と違い、引き渡したあとは作り手のものではなく、その学校のものとなるが、児童たちがよく歌ってくれて感心した。子どもたち自身の中にも、感じるものがあると思う。これからも歌い継いでくれればうれしい」と話していた。






