みちのく潮風トレイル、サイクルツーリズムに着目── 滞在拠点のあり方探る 大船渡地域戦略が気仙両市で調査事業(別写真あり)

▲ 碁石海岸などを視察する関係者

 大船渡市の一般社団法人大船渡地域戦略(志田繕隆理事長)は本年度、観光庁の採択を受けて「三陸復興国立公園中部のみちのく潮風トレイル及びサイクルツーリズム等を利用する訪日外国人のための観光拠点整備に関する調査事業」に取り組んでいる。気仙両市の観光資源を再評価し、機能整備など有効活用の条件を整理しながら、持続可能な誘客基盤の構築につながる整備方針の策定を目指す。同市を代表する景勝地の碁石海岸で観光客や営業施設が減少している状況もある中、増加傾向が見られる国内外のハイカーやサイクリストに着目し、受け入れ環境の充実を見据える。(佐藤 壮)

 

碁石など施設活用模索

 

 観光庁は本年度、地域の観光資源充実のための環境整備推進事業として、歴史的資源や食、自然、文化など観光資源の複合的な活用に関する幅広い調査を進める事業を公募。観光庁認定の登録DMO(観光地域づくり法人)として事業を展開する大船渡地域戦略を含め、全国15団体が採択された。
 採択を受け、大船渡地域戦略は、外国人旅行者を含めたトレイル利用者やサイクルツーリズム利用者が増加傾向にあることを視野に調査事業を展開。碁石海岸や高田松原のほか、気仙沿岸の各拠点の現況を把握し、観光動線や滞在実態、観光案内、休憩機能、多言語対応といった受け入れ環境の課題を整理する。
 また、気仙両市の主要拠点を結ぶ広域周遊ルートのあり方に加え、休憩・案内機能強化、滞在促進策の方向性を検討。さらに、サイクルツーリズムの受け入れ環境整備が進む陸前高田市との連携を重視し、休憩や案内、情報発信など広域周遊を支える要件も整理する。行政や民間事業者の役割分担を明確にしながら、来年度以降の計画策定や段階的整備を見据える。
 調査事業は大船渡地域戦略が統括し、気仙両市の行政や観光物産協会、県サイクリング協会、みちのく潮風トレイルアソシエーションなどが参画。今年8月から月1回程度会合を設け、今月26日には、サイクリングルートやトレイルルートとなっている碁石海岸、広田半島、高田松原、三陸町の綾里地区を巡った。
 このうち、碁石海岸では、穴通磯に加え、乱曝谷といった景観を眺められる展望台を視察。碁石海岸レストハウスも目にし、施設全体だけでなく、震災後に併設された「浜の仕事体験室」などの説明も受けた。
 引き続き、盛町内で3回目の会合があり、トレイルハイカーやサイクリングでの来訪者に関する情報共有を行った。トレイルでは、長距離の踏破ではハイキングをしない日として「ゼロデイ」を設ける動きがある中、気仙も滞在先の一つに選ばれる可能性が話題に。サイクリング関係では、今月、気仙両市で開催された「ツール・ド・三陸」の参加者を対象に行ったアンケート結果などを確認した。
 今後も各種調査を続け、具体的な整備のあり方を固めるほか、計画策定に入る方針。来月には県と連携し、国内外へのPR効果などが期待できるナショナルサイクルルートの指定に向けた勉強会や視察も行うことにしている。
 志田理事長は「大船渡や陸前高田を一体的な地域としてとらえたとき、旅行者の周遊の拠点がどこにあれば利便性が高く、さらにどういった整備をすれば人が集まるのかを整理したい」と語る。
 調査事業では、気仙両市の市街地から中間地に当たる碁石海岸をはじめ、末崎町内の施設利用にも着目。碁石海岸は、自家用車や団体バス旅行が普及した昭和中期から景勝として知られ、30軒以上の民宿や飲食店、物産店が立地した時代もあり、周遊型の観光客を受け入れてきた。
 しかし、近年は運営施設の減少が続き、今年9月末には団体客を受け入れてきた碁石海岸レストハウスが営業を休止。旧末崎中学校も含め、末崎町内には休眠状態にある大型施設が多い。志田理事長は「新しく建物を整備しようとすれば多額の費用がかかる。ノスタルジー的な考えではなく、増加しているハイカーやサイクリスト、外国人来訪者に望まれる形を考えたい」と今後を見据える。