あす津波避難等訓練 市内全域で実施 市民の積極参加を呼びかけ

▲ 本年度は長部地区で避難所運営訓練やAIシステム活用による避難者受け付けなども行われる(昨年の様子)

 陸前高田市は、11月1日(日)午前11時から市全域で津波避難等訓練を実施する。東日本大震災クラスの災害発生を想定し、震災から15年以上が経過した中、市民の防災意識の向上と地域の防災力強化につなげる。長部地区での避難所運営訓練に加え、AI(人工知能)を活用した市独自の情報伝達システム「シン・オートコール」の運用による避難者受け付けや職員参集も予定し、災害対応の体制も確認する。(菅野弘大)


 訓練は、宮城県沖の深さ約10㌔を震源とするマグニチュード9・0の巨大地震が発生し、陸前高田市で震度6弱を観測、本県沿岸に大津波警報が発表された事態を想定。津波浸水想定区域に居住、滞在する市民等は、防災行政無線や緊急速報メール等の大津波警報発表の情報を受け、最寄りの指定緊急避難場所や近くの安全な高台へ避難する。訓練終了後は、東日本大震災犠牲者に黙とうをささげる。
 今回の訓練では、市民の避難に加えて▽職員参集▽災害対策本部運営▽情報伝達▽避難行動要支援者等安否確認▽避難所運営──を実施する。
 対話型のAIエージェントを搭載した自動音声一斉配信システムであるシン・オートコールは、三つの場面での活用を見込む。職員参集訓練は、昨年まで部課長級の職員に限定して行っていたシン・オートコールでの参集連絡を、今回初めて対象となる全職員に行う。
 これまで、部課長以外の職員にはメールで連絡を行っていたが、AIシステムを活用することで、効率的に職員の安否確認や参集可否の確認につなげる。
 避難所運営訓練の中では、避難者の受け付けにシン・オートコールを生かす。避難者がペンで記入して名簿を作成していた従来の形に代わり、指定の電話番号にかけるとAIが自動音声で氏名や性別、年齢などを聞き取り、これに基づく名簿を作成していくもので、今年7月に小友地区で行われた土砂災害避難等訓練で初めて運用された。
 小友地区の訓練時には、100人以上が一斉に電話をかけたことで、対応途中でシステムエラーとなるなどのトラブルが発生。今回はその教訓を踏まえ、電話を受けて応答するAIの処理能力を強化し、大人数からの一斉着信にも対応できる環境を整えた。これまでと同様に、高齢者や障害のある人といった避難行動要支援者の安否確認にも活用する。
 長部地区での避難所運営訓練は、シン・オートコールでの避難者受け付けのほか、乳幼児やペット同行者等を想定した受け付け、誘導訓練、段ボールベッド、パーティションなど資機材の展示、組み立て体験、「市防災マイスターの集い」による災害時のトイレに関する啓発を行う。
 市内の被災状況などの情報共有と災害応急対策方針の決定にかかる連絡調整を行う災害対策本部運営訓練、自主防災組織および消防団による各避難所の避難者数などの情報伝達訓練も予定している。
 市防災局の中村吉雄局長は「震災から15年がたち、記憶も風化しつつある中で、地震や津波などの災害はいつ起こるか分からない。積極的に訓練に参加し、改めて次の災害に備えたり、もしもの時に自分の命を守る意識を持つなど、平時の準備をぜひ行っていただきたい」と呼びかける。