命守る行動と準備を実践 市内で津波避難等訓練 昨年上回る4115人参加(別写真あり)

▲ 段ボールベッドの組み立てなどの体験が行われた長部地区での避難所運営訓練

 陸前高田市は1日、市内で津波避難等訓練を実施した。宮城県沖を震源とする大地震が発生し、大津波警報(巨大)が発令されたとの想定で行われ、昨年を上回る4115人が参加。気仙町の長部地区コミュニティセンターでは避難所運営訓練が行われたほか、AI(人工知能)を活用した市独自の情報伝達システム「シン・オートコール」の運用による避難者受け付けや職員参集も実施され、参加した市民らが進歩した技術を活用しながら、有事に命を守る行動や日頃から災害発生に備える意識を高めた。
 訓練は、同日午前11時に宮城県沖を震源とするマグニチュード9・0(東日本大震災クラス)の巨大地震が発生し、同市で震度6弱の揺れを観測したとの想定で実施。本県沿岸に大津波警報(巨大)が発令され、市民や滞在する観光客らが指定緊急避難場所など近場の高台に避難した。
 津波警報、避難指示の解除後は、震災犠牲者に対する黙とうをささげ、発生から間もなく15年8カ月を迎える災禍の記憶と学び得た教訓を改めて胸に刻んだ。
 長部地区コミセンでは、市と同地区コミュニティ推進協議会の共同による避難所運営訓練を展開。地区住民が避難者の誘導などにあたり、避難所に入った住民らはシン・オートコールによる避難者受け付けを体験した。避難者がペンで記入して名簿を作成していた従来の形に代わり、指定の番号に電話をかけるとAIが自動音声で氏名や性別、年齢などを聞き取り、自動で名簿が作成されていく仕組みで、住民らは張り出された番号に電話をかけ、氏名や年齢、避難している場所などを口頭で伝えた。
 炊き出しでは、お湯を注ぐだけで出来上がるアルファ米の非常食が配られた。このほか、段ボールベッドの組み立てや「市防災マイスターの集い」による災害時のトイレに関する講話を聞き、有事に備える意識を新たにした。
 同協議会の藤村好博会長は「逃げることが先決だが、避難の長期化を想定しての訓練を行った。災害はまたいつか必ず来るものと捉え、警戒を怠らないようにしたい」と気を引き締めた。
 市災害対策本部では、昨年まで部課長級の職員に限定して行っていたシン・オートコールでの参集連絡を、今回初めて全職員293人に対して実施。午前11時3分から順次連絡を行い、連絡開始から10分程度で約9割の職員の安否と参集の確認が完了した。これまでと同様に、高齢者や障害のある人といった避難行動要支援者の安否確認にも活用した。
 このほか、市内の被災状況などの情報共有と災害応急対策方針の決定にかかる連絡調整を行う災害対策本部運営訓練、自主防災組織および消防団による避難者数などの情報伝達訓練も行った。
 市防災局の中村吉雄局長は「参加された皆さまが実践した訓練は、いつか来る災害への備えとなることは間違いない。訓練が終われば全て終わりではなく、災害に備える心構えを持っていただければ」と期待を込めた。