各分野での功績に光 秋の叙勲 気仙からは4氏が受章

 政府は、令和8年秋の叙勲受章者を3日付で発表した。長年にわたる各分野での功績をたたえるもので、受章者は全国で3862人、県内で81人。気仙からは、県食肉生活衛生同業組合副理事長の胡口穰さん(84)=大船渡市大船渡町=が生活衛生功労で旭日単光章、元情報本部職員の島田喜末さん(73)=同市=が防衛功労で瑞宝小綬章、元公立小学校長の柏崎正明さん(74)=同市猪川町=が教育功労で瑞宝双光章、元県住田町消防団長の佐藤清司さん(68)=住田町世田米=が消防功労で瑞宝単光章をそれぞれ受章する。


旭日単光章/胡口 穰さん(生活衛生功労)
外での活動「店守る皆のおかげ」

 

 大船渡市盛町字木町に本社精肉部と食堂、同町のサン・リアショッピングセンター内にサン・リア店を構える㈱胡口精肉店の代表取締役社長。元々は大手家電メーカーに勤めるサラリーマンだったが、昭和55年に急死した父・正三さんの後を継ぎ、大正元年から続く老舗の3代目となった。
 以来、多くの関連団体において、責任ある立場を歴任。84歳の今でも、県食肉生活衛生同業組合の副理事長をはじめ、県食肉公正取引協議会と岩手畜流会の会長、県食品衛生協会大船渡支会の相談役、大船渡商工会議所の常議員などを務めている。
 食品を取り扱う者として、食中毒予防には特に力を入れて取り組んだ。同支会では毎年8月の「食品衛生月間」に合わせた啓発活動を積極的に展開。「食中毒に関する知識を持ち、清潔を重んじ、賞味期限などのルールをきっちり守らなければ」と、強い信念をのぞかせる。
 今回の受章を、「私が受けていいのか。まだまだ実績が足りないと思う」と謙虚に受け止める胡口さん。「非常にうれしい気持ちと、責任の重大さを感じる」と気を引き締めるとともに、「従業員のみんなが店を守ってくれるから、私は外に出ていろいろと活動ができる。本当に恵まれていると思う。感謝しかない」と周囲の支えに深く感謝していた。

 

瑞宝双光章/柏崎 正明さん(教育功労)
震災経た教育活動 今後も意欲的に

 

 県公立学校退職校長会気仙会の副会長。昭和51年に福島大教育学部を卒業後、37年間にわたって県内小・中学校の教壇に立った。平成20年4月から末崎小、同22年4月から25年3月まで大船渡小の校長を務め、退職後は中央公民館長、市教育委員会委員を歴任した。
 23年の東日本大震災は、長く教育現場に携わってきた中で最も記憶に焼き付き、その後の教育活動の土台となった。
 当時、校長を務めていた大船渡小は避難場所に指定されていたが、遠くから押し寄せてくる津波の様子から、「ここにとどまるのは危険」と判断し、児童や教職員、住民らを集め高台の大船渡中へ二次避難。発災4日目の朝に、全校児童の無事を確認した。
 当時の保護者から寄せられた、教職員らの対応に向けた感謝のメッセージが「その後の教育活動を行っていくうえで大きな支えとなった」と振り返る。
 「震災の記憶、教訓を未来に伝えたい」との一心で、退職後は県内外で講演活動を展開。命の大切さや、災害体験を語り継いでいく意義を伝える取り組みを現在も続けており、継続にも意欲的だ。
 「これまで携わった職場関係者や教員時代の保護者、地域の皆さん、家族に支えられて、活動してこられたことに感謝している」と話し、受章の喜びをかみしめていた。

 

瑞宝単光章/佐藤 清司さん(消防功労)

活動通じ育んだ地域の絆大切に

 

 住田町大股出身。地元の先輩に促される形で、昭和56年4月に町消防団に入団した。操法競技会への出場を機に活動への思いが深まり、団活動に打ち込むようになった。
 選手として訓練に励み、指揮者も経験。消防団を通じて育んだ仲間や地域とのつながりは、かけがえのないものとなった。
 強く記憶に残っているのは、平成23年の東日本大震災。当時は第3分団の部長を務め、陸前高田市竹駒町や大船渡市三陸町で行方不明者の捜索に当たった。各地で厳しい状況が続く中、家族や親戚のことも気にかけながら、消防団員として目の前の役割を果たした日々は「一生忘れない」と振り返る。
 平成26年度から30年度まで副団長、令和元年度から2年度まで団長を務めた。3年度以降は顧問として、式典や演習で後進の活動を見守っている。
 大船渡市での大規模林野火災の際には、顧問仲間と激励金を集める後方支援を行った。現場で奮闘する後輩たちを思い、活動を支えようと力を尽くした。
 今回の受章で何より伝えたいのは、「これまで関わった人たちに感謝したい」ということ。ともに活動した仲間はもちろん、支えてくれた家族にも謝意を伝える。「相談を受けたらアドバイスを送るなど、今後も後方支援をしていきたい」と語る。