瞬時の情報集約を実現 AIでの情報伝達システム「シン・オートコール」 津波等避難訓練で運用 避難者受付、職員参集など
令和8年11月4日付 1面
陸前高田市は、1日に市内で実施した津波避難等訓練で、AI(人工知能)を活用した市独自の情報伝達システム「シン・オートコール」を運用した。避難所における避難者受け付けや災害対応に当たる職員の参集、避難行動に支援を必要とする市民の安否確認などを、AIによる自動架電、応答で行うことにより、短時間での情報集約を実現。市では、システム利用者などへのアンケート調査も実施しながら、充実した運用体制の整備を目指す。(菅野弘大)

長部地区では住民らが避難者受け付けのための電話をかけた
シン・オートコールは、災害時に支援が必要な市民らに対し、避難情報を一斉に電話発信する「オートコール」と、安否状況を把握するAI機能を組み合わせたシステム。対象者からの応答を音声判読し、文字化または一覧表化できる。市はNTT東日本との共同でこのシステムを開発し、全国に先駆けて令和5年11月に運用を開始した。
今回は、長部地区での避難所運営訓練でシン・オートコールを活用した避難者の受け付けを実施。これまでは、避難者がペンで記入して名簿を作成していた受け付けを、指定の番号に電話をかけるとAIが自動音声で氏名や性別、年齢などを聞き取り、名簿が作成されていく仕組みとするもので、今年7月に小友地区で行われた土砂災害避難等訓練に続いて2回目の運用となった。
小友地区での運用時には、避難した100人以上が一斉に電話をかけたことで、対応途中でシステムエラーが発生するトラブルがあった。今回はその教訓を踏まえ、電話を受けて応答するAIの処理能力の強化を図り、長部地区では大きなトラブルもなく受け付けが完了した。
また、市災害対策本部や各避難所などで災害対応に当たる市職員(消防職員除く)らの参集連絡にも活用。昨年までは、部課長級の職員約30人はシン・オートコール、その他の職員はメールで参集連絡を行っていたものを、今回は全職員293人にシン・オートコールで連絡し、情報集約の効率化を図った。
1秒間に3~4コールの間隔で順次連絡していき、応答結果が本部のモニターに表示された。
自動的に電話をかけるのと同時にショートメッセージも送り、電話に出られなかった場合や、災害、避難等の状況変化も考慮し、メッセージからかけ直しができるようになっているほか、5分後に再度自動的に電話をかける設定も入れた。
連絡開始から10分程度で約9割の職員の安否と参集可否などの確認が完了。集約した情報を各課単位や居住地域単位でまとめたり、電話口で話された言葉からSOSを検知することもでき、職員の応答状況から災害の被害が大きい可能性がある地域の推測にも役立つ。
市防災局の中村吉雄局長は「シン・オートコールに小さい課題はないとはいえないが、今回は大きなトラブルはなかった。かなり技術的にも進歩しており、今後それぞれの目的に応じて、本格運用に向けて内容をさらに充実させていきたいし、そこに期待している」と話していた。





