市制施行時知る貴重資料 昭和30年1月発刊「広報 陸前高田」 震災で被災し安定化処理も 14日から市立博物館で展示へ
令和8年11月7日付 7面
陸前高田市高田町の市立博物館(菅野義則館長)は、14日(土
)に開幕する特別展「ずっとずっと ふるさと陸前高田─ふるさとの記憶をつむぐ─」において、昭和30年の市制施行直後に発行された「広報 陸前高田」創刊号を初めて展示する。15年前の東日本大震災津波で被災し、安定化処理が施されたもので、創刊号には新市の機構人事や合併関係町村の沿革、市民向けの情報などを掲載。7日に市制施行70周年記念式典が開かれる中、新市誕生当時の地域を知る貴重な資料となっており、同館は所蔵するほかの広報紙も含め、さらに詳しい調査を進めていく。(三浦佳恵)

市内のさまざまな動きが掲載されており、題字の変遷も確認できる
陸前高田市は71年前の昭和30年1月1日、高田、気仙、広田の3町と小友、米崎、矢作、竹駒、横田の5村が合併して誕生。「広報 陸前高田」は新市誕生から半月後の同月15日に発刊され、当時は月1回出されていた。
同館が所蔵する広報は、震災前の市役所で保管されていたもの。同館によると、創刊号から41年10月25日発行の140号までのうち、13号(31年1月15日発行)と115号(39年9月25日同)を除く各号と、選挙号外などが残っているという。いずれも大きさはタブロイド判(縦40㌢、横27㌢)で、2~4㌻で構成されている。
これらは津波による流失を免れたものの、浸水被害に遭い、同館で除菌、脱塩、脱酸性化、欠けや破れた部分を修復する安定化処理がなされた。いまも紙面には、津波の爪痕が確認できる。
創刊号は4㌻からなり、冒頭には「廣報発刊に当りて」として、市長職務執行者の及川隆平氏(旧小友村長)のあいさつを掲載。市制施行に対し、「実に一大飛躍であつてまさに一大偉業であるというべきであります」などと記している。
このほか、のちの初代市長・菅野音松氏(旧高田町長)の寄稿文、初の市議会、新市の機構人事、合併市町村の沿革、市民からの意見・提言などを掲載。市内の観光地を写真で紹介する連載、同年のえと・ひつじ年生まれの市民に長所・短所を尋ねるコーナーもある。
第2号以降も、市のさまざまな動きや市民らの声を紹介。市長選や市議選の結果、市税の計算の仕方、市立博物館の建設、新庁舎、市民会館の落成などが載っており、題字の変遷に注目するのも面白い。
一方、35年6月15日発行の66号は「チリ地震津波襲う」として、死者や被災戸数、被害額などの状況を写真とともに紹介。地域における津波災害の歴史を現代に伝える資料の一つといえる。
同館は、14日からの特別展で創刊号や66号、博物館に関する話題が掲載された紙面を展示する計画。熊谷賢主任学芸員は「70年以上前の資料であり、市制施行される前の状況や、その後の様子を知ることができる。かつての地域の活気が伝わる写真も見られるなど、面白い内容も多い。もう一度精査、調査し、いずれは広報紙だけの展示もできれば」と話している。






