強さと優しさと

 今月初め、米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希投手=陸前高田市出身、大船渡高校卒=が、古里で小学生向けの野球大会を開くという一報が飛び込んできた。大会名は「Roki Series(ローキ・シリーズ)」。11月21日(土)~23日(月・祝)の3日間、陸前高田市の高田松原運動公園野球場、大船渡市の市営球場、旧末崎中グラウンドを会場にトーナメント戦が繰り広げられる。
 東日本大震災の苦境に直面しながらも「令和の怪物」として成長を重ねてきた佐々木投手。令和2年、ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団し、3年目でNPB史上最年少での完全試合を達成。その後、ワールド・ベースボール・クラシックへの出場、そしてドジャース入団と、古里に夢と希望をもたらしてきた。
 世界最高峰の舞台で躍動する傍ら、大船渡市大規模林野火災に際しては避難者向けの寝具セット等を届け、大地震の被害を受けた石川県能登では子どもたちを招いた教室を開催するなどしてきた。そして今回の大会。
 開催の知らせを耳にした時、「当たり前にある生活が当たり前でないと学んだ」「少しでも地域に貢献したい」──。千葉ロッテ入団前、県内報道各社による共同インタビューが大船渡市内で行われた際、高校の制服姿だった佐々木投手が、震災を振り返りながら語っていたことを思い出した。
 今大会のインスタグラムでは「新しい場所でさまざまな経験をし、多くの人と出会う中で改めて実感したのは、自分を育ててくれた故郷の『温かさ』と『強さ』」「みんなで、未来に残るものを、これから毎年つくっていきたい」とメッセージを発している。
 困難に立ち向かってきた気仙の至宝は、強さと優しさを兼ね備えている。気仙人として、佐々木投手の言葉にこの上ないうれしさと誇らしさを覚え、勇気ももらった。陰ながらだが、大会の成功を願ってやまない。(弘)