菊地よし穂さんの詩集

 昭和初期の詩壇で高く評価された大船渡市の詩人・菊地よし穂さんの童謡詩集『こやぎ はねるよ』が、新たに同市立図書館の本棚に並んだ。昨年9月に掲載した、発刊に関する記事を覚えている方がいればありがたい。この時、詩集の読者プレゼントも合わせて行ったところ、想像をはるかに超える応募があった。今さらながらお礼申し上げます。
 同館への寄贈自体は、菊地さんのご長男であり著者の宏雄さん自身が予定していた。筆者としても、読者プレゼントに当選されなかった方に対していくぶん心苦しく思っていたので、実は配架となる日が待ちどおしかった。同館には館内閲覧用含め3冊の蔵書があるようなので、今まで読みたくても読めないでいた方は、ぜひとも足を運んでほしい。
 収録されている作品については〝ネタバレ〟を防ぐため小欄では触れないとして。同書には菊地さんについて取り上げた新聞記事などの写しが、東海新報をはじめさまざま掲載されている。現在となっては気仙の文化人を語る貴重な資料であり、ご親族の物持ちの良さにも感服した。
 ところで、同書を読んで筆者が初めて知ったのは、昭和18年に旧大船渡町の市街地で大火災が起こっていたということだ。市史によると、全焼と半焼含め133戸が焼け、3人の負傷者を出した。この火災で、菊地さんの残した作品も失われたという。
 当時は風速25㍍以上の強い風が吹いており、機関車の火の粉が民家に飛び火して燃え広がったとある。思えば、大規模林野火災が起きた日も風速18㍍と風が強く、出火直後の現場ではよろけるほどだった。昭和18年は今よりも木造建築が多かっただろうし、非常に早いスピードで延焼したことは想像に難くない。
 きょうで、三陸町綾里で1度目の火災が発生してから1年になる。改めて林野火災の脅威を思い返し、強風と乾燥には十分用心したい。(齊)