令和8年04月16日付
熊本地震が起きてから10年が経過した▼東日本大震災の発生10年を迎えた時は、瞬く間のようでありながら、実際には長い歳月が過ぎたのだと感じた。5歳だった子が中学を卒業し、小学生だった子が進路を定めるほどの時間経過は、やはり大きいと▼他方で「復興を遂げた」と言い切るには短すぎる年月であることも、また事実だった▼熊本では4月14日の前震と16日未明に起きた本震により、地域のシンボルたる熊本城が大損害を受けた▼天守閣の屋根瓦の大半は剥がれ落ち、城内に計13棟ある国重要文化財のすべてが破損。土台である石垣も全体の3割が崩れるなどした▼その修復のための奮闘が今も続いていることを、恥ずかしながら知らずにいた▼完全復旧は2052年度―まだ26年先のことになるそうだ▼復旧基本計画では当初、11年先の修復完了が目指されていた。だが、文化財や史跡としての価値を損なわない方法を探り、さらに工期を延ばしたと聞く▼城が地震で大きく損傷した時、県民の中に「直さない」という選択肢はおそらくなかったろう。観光の目玉だという以上に、存在そのものが心のよりどころ、誇りであるはずだからだ▼復興とは、ただ形を直せばいいというものではないのだ。その地域が積み上げてきた歴史や文化まで含めた「誇りを取り戻す」作業なのだと、いつだって思い知る。






