令和8年06月03日付
日本の高度経済成長期、高速や一般道路網の整備が図られて「モータリゼーション」が進み、人の移動や物の輸送は、鉄道や船舶から、自家用車やトラックへシフトした▼今、貨物輸送についてはこれを逆向きに移行し直す動きがある。大量輸送可能な船舶・鉄道を軸に据え、末端への輸送には機動的なトラックを組み合わせる―この移行を「モーダルシフト」と呼ぶ▼人口減少と過疎化が止まらず、皮肉にも車中心社会への〝発展〟があだとなり、現在の地方はどこも鉄路が危機にひんする。中でも広大な面積を持つ北海道では、赤字区間のうち輸送密度が200人未満の「赤線区」はすでに全廃。輸送密度200人以上2000人未満の「黄線区」廃止に焦点が移る▼だが黄線区には、道外へのタマネギ輸送の約6割、ジャガイモや米の約3割を担う路線が存在。これらの維持なくば全国の食料流通も揺らぐ。食料安全保障の面からも、農村部における鉄路の存続は極めて重要なのだ▼加えて一昨年、トラックドライバーの働き方改革、いわゆる2024年問題が勃発。鉄道や船舶への切り替えは、CO2削減のほか、ドライバー不足対策としても意味がある▼政府は黄線区の事業見直しをJR北海道に要求するが、モーダルシフトと食料の安定供給の観点で見れば、ここに国の支援を投入することこそ欠かせまい。





