令和7年12月11日付

 8日の津波警報発表直後、小社を含む複数の媒体がほぼ一斉に「偽情報に注意を」とネットで呼びかけた▼災害とデマというのはそれほど密接に結びついているのだ▼非常事態が起きると、当事者はもちろん、多くの人々が強い不安に襲われ、「状況を把握したい・危険を回避したい」と思うもの。感情が高ぶって冷静な判断力を失い、ショッキングな話、過激な話にほど心をとらえられやすくなる▼「動物園から猛獣が逃げ出した」「○日にまた地震が起きる」「これは人工地震」「外国人の窃盗団が入り込んだ」といった話も、もっともらしい理屈をつけて語られるとうのみしがちになるのだ▼なんといっても「注目を集めればカネになる」という近年のSNSの異常な収益モデルと、デマとの相性は抜群だ。生成AIでリアルな画像や動画も容易に作れるから、フェイクは一層巧妙で見分けにくくなっている▼そして、たとえ意図的に流されたデマでも、拡散してしまうのは〝この情報や警告が届けば、誰かを救うことができるかも〟と考える善意の人であったりする点もつらいところだ▼衝撃的な画像・情報であるほどまずは疑い、発信者が公的機関かどうか、専門的な知見を持った信頼に足る人物かどうか確認してほしい。反射的に反応しないというだけでも、デマの流布に〝加担〟してしまうことは防げる。