令和8年08月13日付

 0対10。スコアだけ見れば「惨敗」だったかもしれない。だが応援席の一体感は「大会屈指の」と評しても差し支えないだろう▼11日に行われた夏の甲子園2回戦。秋田県立横手高と、福井の常連校敦賀気比高との対戦は、一塁側アルプススタンドが紫一色―〝横手高カラー〟に染まった▼あれほど超満員の応援席はまず見られるものではない。学校関係者だけで2500人の大応援団と聞いたが、市民全員が駆け付けたのでは?と本気で思うようだった。間違いなく試合中は横手市内が空っぽになったことだろう▼同校の前回出場は57年前…つまり半世紀以上ぶりであるため、甲子園応援のノウハウが残っておらず、金足農などに助言を仰いだという▼一方、今年で創部70周年という同校吹奏楽部による応援演奏は大迫力だった。周年記念の演奏会を延期して応援練習に取り組んだといい、見事な音量を会場に響かせた▼これに球場全体を揺るがす大声援が加わるのだ。観客席のエネルギーが面となってマウンドに押し寄せ、チームを大いに鼓舞したことは明白だった。選手たちの間に笑顔が絶えず、プレーもはつらつとしており、負け試合の悲壮感を一切感じさせなかった▼これぞ本来の甲子園のだいご味であろう。出場校が毎年同じ顔触ればかりではもったいない。気仙からもいつかまた―そんな思いを強くした。