令和8年04月09日付
1カ月間の医療費が一定の上限額を超えた際、超過分が払い戻される「高額療養費制度」。その自己負担額の大幅増を含む本年度予算案が、強い反対の声を押し切り可決された▼この件に無関心でいていいのは、湯水のごとく医療費を払える人と、「私も家族も一生涯、絶対に大病も大けがもしない」と言いきれる人だけ。つまり、大半の国民が無関係ではない▼大きな病などを経験した・した家族がいる人は、制度のありがたさが身に染みていよう。大金を支払い青くなったあと、それが返ってくると知った時の、あの安堵感を。あれが著しく損なわれるのだ▼保険に入っていても貯金があっても、長期の高額治療が必要になれば家計を圧迫する。働き方を変えざるをえないことも多く、所得は平均で3割以上減少する▼税金・保険料、生活費を引いた支払い能力のうち、医療費が40%を超える状態を「破滅的医療支出」と呼ぶが、収入が3割減ると同支出の割合も跳ね上がる▼ここで負担額まで引き上げられれば、生活の破綻も一気に現実となり、治療をあきらめる人が必ず出てくる▼同制度は、自分と大切な人を守る命綱。そしてその綱は、高齢者か若者かを問わず、突然必要になることがあるのだ▼約122兆円という過去最大の予算を計上しながら、わが国はその予算を命綱に割くことはよしとしないらしい。





