令和8年03月29日付

 先日、ふるさと創生大学の千葉修悦さんが、住田町上有住の五葉地区一帯をご案内くださった。わけても興味深かったのは、2年前に発掘調査が行われた中埣の縄文遺跡である▼県内では珍しい掘立柱建物が多数発見され、出土品も多く、大きくて特殊な集落だった可能性があるという▼遺跡は四方を山に囲まれながらも開放的な空間にあった。立っているだけで不思議と心が澄み渡っていくようだった▼周囲の自然と併せて見ても、大きな集落だった説はうなずける話だ。獣や川魚、山菜、木の実が豊富で、山懐に抱かれた穏やかな場所―間違いなく住みやすかったはずだと▼遺跡近くにまつられる「おかくら様」にもご案内いただいた。地域の人々が草刈りなどを行い大切にするほこらは、縄文時代には獲物を解体し、分配した場所であったという▼千葉さんはそれを「共生」と説明された▼取った獲物を取った者だけで独占せず、狩りに行けない老人や病人にも分け、皆で支え合って暮らしてきたことを象徴する場所―▼たとえ食物が豊富でも、争いやいがみ合いばかりなら集落は保てなかったろう。共生してきたからこそ豊かに、何千年も続いたのだ▼現地に立ってみたおかげで…何より、五葉の方々と接したあとだったために、それを心から実感できた。そしてその真なる豊かさが、今に息づいていることも。