令和8年09月06日付

 SF作品にはよく、代替食料とでも言おうか、〝人の食物ではないものから作られた食事〟が登場する▼日本のアニメだと、『未来少年コナン』ではプラスチック(石油)からパンを作っていたし、『ドラえもん』にも海中プランクトンを利用してホットケーキやカツ丼、ステーキと、なんでも好きな食事に変えられる夢のような道具があった▼そしてそんなフィクションのような食物が、現実にも誕生しつつある▼米国の研究グループは遺伝子改変した酵母を使い、PET樹脂と農業廃棄物をバニラ風味のプロテインクッキーに変える技術を開発。NASA主催のコンテストに出品した▼この…つまりはペットボトルとごみから作られたクッキーは…理論上は食べられる。香りも非常に良いらしい。が、まだ誰も試食はしておらず人を対象とした試験の承認を待つ▼コンテストの趣旨は、長期の宇宙飛行で食料をどう確保するかに対し、新たな科学技術の開発を促そうとしたものだが、当然、自然災害や戦争によって引き起こされうる食糧危機への対応も念頭にある▼性質としては「高タンパク質の栄養補助食品」といえ、〝ごみを原料にした食品〟を受け入れねばならない未来が来るのだとしたら、それはSFの中でもディストピアのジャンル。子どものころ夢見た近未来とはだいぶ違うな…と、ちょっぴり複雑である。