令和8年05月19日付
焼いた肉は生肉には戻せない。もちにしたら米には戻らない―こうたとえると分かりやすいかもしれない、ナフサ不足の要因は▼企業や業界からは次々と「ない」の声が上がるのに、政府が「足りているはず」と繰り返すのはなぜか。それは国が在庫としてカウントしているナフサには、固めた樹脂ペレットまで合算されているせいだ▼原油を蒸留した時に出てくる液体がナフサで、プラ、ゴム、洗剤、塗料などの原料になる。だがこれを一度ペレットに固めてしまったら用途はぐっと狭まる▼「小麦粉はある」と言いながら、パンやクッキーを数に含められても、うどんやパスタの店が困るのと同じだ。必要なのは原料なのだから▼つまり、数字上は足りて見えても、求める状態のものがないために齟齬が生じる。それを「目詰まり」と呼んで、一部業者の過剰発注や転売のせいと見るのは間違いだ▼石油は200日以上の備蓄があると言われる一方、揮発しやすく保存に向かないナフサは備蓄義務の対象外で、約20日分の民間備蓄しかなかった▼そのうえガソリンには補助金があり精製すればもうかるが、ナフサには補助がなく、作るほどに赤字になってしまう▼「政府としては足りている認識。ないという側がおかしい」というのは乱暴すぎる話で、困っている企業が増えている現実を直視して対処すべきなのだ。






