令和8年02月22日付
きょうは「猫の日」である▼さすが数千年前から人をとりこにしてきた生き物なだけあって、ちまたでは飼い猫との日々をつづる〝猫エッセー〟がジャンルとして確立されている▼その中で今ぜひ紹介したい漫画作品が、『我が名はミエーヌ』(セントラルド熊/朝日新聞出版)だ▼親とはぐれ、死にかけていた目の見えない子猫…ミエーヌを行きがかり上、飼うことになった作者、その家族、先住犬・猫との暮らしを軽妙に描く。Xに投稿されていた作品群が昨年末、1冊にまとまった▼作中では明言されないが、作者のセントラルド熊氏は獣医師だ▼青森出身で、東日本大震災の時は福島在住だったことが過去の投稿から推察できる。原発事故後、避難先に連れていけなかった多くのペットや家畜が餓死した事実も以前、漫画として発表していた▼今回出版された同書にはミエーヌとの愉快な日常からは少し離れた、描き下ろしの短編が収録されている。これもまた福島と生き物にまつわるエピソードだ▼あの震災の裏に動物たちの無数の死があったことは、あまり語られてこなかった。それは人の死より軽いとみなされてきた▼〝でも本当にそう割り切れるものだったろうか〟と静かに問いかける、貴重なドキュメントとしてこの短編を読んだ。小さな命とともに生きる責任というものに、思いをはせながら。






