令和8年05月15日付

 中東情勢に伴う原材料の調達不安定化のため、カルビーのポテトチップスというロングセラー商品のパッケージが白黒になる▼見直しの理由を見ると合理的で簡潔明瞭、企業としての責任感や沈着な姿勢が伺える▼収穫期に入る新じゃがは日持ちせず、パッケージ印刷が滞れば出荷できなくなる可能性が高い。同社では印刷用溶剤を夏ごろまで確保しているものの、モノクロ化は供給を止めないための先手対応であり、また東日本大震災時にインキ使用量を減らす包装にしたノウハウもあったため、決断に踏み切れたという▼自社の知恵と経験をフル動員した冷静な決断である。必要な原料を医療などへ優先的に回せるようにといった配慮も含まれているようだ▼なのに早速「これは政権への嫌がらせ」「不安をあおるな」と同社を非難し、商品の不買運動を呼びかける向きまである▼白黒のパッケージにはそれだけ強烈なインパクト、人心をざわつかせる何かがあったわけだ。TVのコメンテーターが「カラフルな商品よりモノクロのほうがおしゃれ」と事態を過小評価してみせようとするのも、衝撃の裏返しだ▼実際、色彩を失ったパッケージはピカソの「ゲルニカ」を思わせた。あの絵がどんな背景で描かれたのか考えれば、モノクロ包装に〝抵抗〟のメッセージを読み取ってしまうのも無理はないかもしれない。