令和7年11月30日付
大きなクマが夜の住宅地に現れた─そんな画像を自治体公式アカウントがSNSに載せて注意喚起したら、まず疑うまい▼女川町は「保育所の近くにクマがいた」という情報が写真付きで寄せられたとして、その画像をXに投稿した▼町はさぞあわてたろう。情報が本当ならば同町としては十数年ぶりの目撃。町民に警戒を呼びかけ、周辺をパトロールし、外遊び中止や集団下校などの措置をとった▼ところが後日、画像を作った本人の関係者が「うその画像だった」と交番に届け出た。軽い気持ちでしたことが大ごとになって怖くなった当人が、家族などに打ち明けたといったところか▼AIの進化は恐ろしい。問題の画像を見たが相当リアルだった。各地で被害が広がる中、あれではだまされもするだろう▼ネットでは架空のクマ動画も出回っている。住宅に入り込んだクマをペットが追い払ったり、道ばたで襲ってきたクマを高齢者が撃退したり、女性が路上でクマにエサをあげたりしているものなど、さまざまだ▼防犯カメラの映像を装ったりと細工も凝っている。多くの場合はAIで作られたことを示すマークが入っているから、とにかく反射的に信じないようにしたい▼命に関わる問題で悪ふざけするなど信じがたい話だが、人の不安に乗じて注目を集めようとする者は、残念ながら少なくないのだ。





