令和8年10月23日付

 先日、釜石海上保安部の巡視船きたかみを見学する機会に恵まれた▼海難事故の救難や密漁の取り締まり、海洋汚染対策のほか、大船渡市の夏まつりにおける海上七夕の運航警備等、私たちの見えないところ、だが身近なところで海の安全を守ってくれている海保の業務に対し、改めて感謝の念を深めてきた▼東日本大震災の時は、先代のきたかみ(平成30年に引退)をはじめとする巡視船艇が海上での捜索、救助活動にあたった▼その取り組みの中に記者として忘れがたいものがある。平成28年3月、陸前高田市の広田湾で行われた震災行方不明者の捜索だ▼同海保所属の巡視艇きじかぜと宮城海保所属の巡視船くりこまが出動し、潜水捜索を行った。これに合わせ、行方不明者の家族も漁船に乗り込んで潜水士らの活動を間近で見守り、海上で献花する場が設けられた▼発災から5年を経た当時も同市では200人以上の方が行方不明者だった中、〝あきらめようにもあきらめられない〟というご家族の心情をくんで実施された活動だった。航海士の方が海底の様子を撮影した映像や写真を見せながら丁寧に状況を説明する姿に、家族らが深く感謝していたことを覚えている▼同市の震災津波伝承館で現在、釜石海保による震災直後の活動がパネルで紹介されている。当時の貴重な記録、多くの人に見てもらいたい。