令和8年05月14日付

 「嫌な音」の代表格とも言える「黒板をひっかく音」は、人間だけでなく野生動物にとっても嫌なものらしい▼早くもクマによる人身被害が各地で起きている。世界遺産・白川郷で知られる岐阜県白川村では、クマ対策として、黒板をひっかくような高周波音を放つ装置「熊ソニック」を導入したという▼鳥獣の侵入防止で一般的なのは、土地の周囲に金網や柵を設置して物理的に近づけない方法だ。だが動物側も柵をくぐる・跳び越える・地中を掘るなどどんどん知恵をつけ、突破されることが増えている▼また、金属板を鳴らしたり発砲音などの爆音を出して動物を追い払う方法には、弱点があった。同じ音を単調に鳴らすだけでは鳥獣が慣れてしまい、追い払ってもすぐ戻ってきてしまうのだ▼一方、熊ソニックは50種類の音をランダムに鳴らすほか、数カ所に設置して「音の壁」をつくるという発想の転換があった。驚かせる音ではなく、近寄りたくないと感じさせる音で空間に〝網〟を張り巡らせるのだ▼北海道では同様の仕組みを持つ「鹿ソニック」が高速道路のシカよけとして実力を発揮し、本州ではイノシシにも効果が認められたという▼疑問は、その音は人にも効いてしまうのでは?…ということだが、夜間の利用など限定的な形であれば大丈夫か。実証データがそろい、汎用化されるのを待ちたい。