令和8年05月16日付

 恥ずかしい、申し訳ない話だが、ずーっと知らずにいた。宮古市に地域紙が存在していたことを▼人に話す時、「以前は釜石に新聞社があったけれど、本県沿岸部で残っている地域紙は今じゃうちだけです」なんて言い方をしていた▼ところが過日の読売新聞で「宮古の地域紙『宮古民友』廃刊へ…52年の歴史に幕」との記事を見かけ、驚いたのなんの▼マスコミ総覧にお名前こそ載っていないが、読売によると昭和49年の創刊。令和2年に一度廃刊するまで、月数回発行されていたようだ。同3年に月刊の「かわら版」として復活し、事業所に郵送する形で宮古の情報を届けていたという▼編集発行人は83歳の鳥居弘さん。フェイスブックに同紙のアカウントがあり過去の紙面を拝読できたのだが、どうやらお一人で取材されていたらしい。頭が下がる▼15日付の最終号に、中村尚道宮古市長が感謝の言葉を寄せていた。平成20年、市の広報係だった市長にとっては、優しい先輩であり、礼節に厳しい師であり、震災の時は情報を届けるためともに戦った仲間でもあったと▼ご病気で廃刊を決めたというが、鳥居さんは「命ある限り続けたかった」と衰えぬ情熱をかいま見せていた▼自分も40年先、同じように命を燃やせているだろうか。一度消えればおそらく二度とは取り戻せない地域紙の火を、絶やさないために。