令和8年07月21日付

 スマートフォンにスマートウオッチときて、ここに新たな眼鏡型デバイス「スマートグラス」が台頭しつつある▼目にかけたまま通話でき、同時翻訳も可能。動画の視聴や音楽鑑賞も楽しめて―と、フィクションで見た近未来を現実にしたような機能を搭載しているが、〝誰にも知られず撮影できる〟というカメラ機能に関しては、悪用・濫用される可能性しか思い浮かばない▼実際、普及が進む米国をはじめ、スペイン、中国などのSNSでは女性を対象とした盗撮画像が大量に出回っている。無断撮影の動画をいつの間にかアップされていたり、削除を要請したら金銭を要求された―といった事例もある▼カナダでは店員の認証情報をスマートグラスで盗撮し、店舗システムに不正アクセスして、ギフトカードにチャージする事件が起きた▼中国では、カジノのカードに細工しスマートグラスでイカサマをしていたグループを摘発。また、試験のカンニングも横行する。問題を撮影し、AIに解答を教えてもらうのだという▼撮影禁止のライブやスポーツの試合もばれずに撮れてしまうし、〝映画泥棒〟も頻繁に行われているようだ▼デジタル技術の進歩に人のモラルが追い付かず、追随するのは悪知恵ばかり―となっていく社会を見るにつけ、科学の進歩は人を幸せにするばかりではないな…とついため息が出る。