令和8年04月17日付
自身をキリストにたとえる悪ふざけを、イタリアのメローニ首相に批判された米・トランプ大統領が、腹立ちまぎれに「イランが核兵器を手に入れたら、伊を2分で吹き飛ばすだろう」と挑発した▼メローニ氏は冷静だった。「私の知る限り9カ国が核兵器を保有しているが、そのうち実際に使用したのは1カ国だけです」と痛烈な皮肉で返した▼「極右」と呼ばれることも多いメローニ氏だが、国益や自国の国際的な立場を考える時には大変な現実主義者だ。この度、イスラエルとの防衛協定停止を発表したのも、大局を見る視野の広さがうかがえる▼イラン攻撃が長期化し、人道的状況も悪化する中で防衛協力を継続することは、伊の憲法が定めた戦争の放棄や、国際的な条約義務と大きく矛盾する。つまり、協定の維持が国益を損なうと判断し、すみやかに動いたのだ▼G7の一角がこうして「主権国家として国際秩序をどう維持すべきか」と態度で示したことを、欧州諸国と日本は重く受け止めねばならない。「法の支配」を掲げ、ロシアなどを批判してきた以上、例外を認め続ければ、やがて自国の首を絞めることになると▼同時に、メローニ氏の判断は「無為な戦争を認めない、殺りくを認めない」という人道的に当然のことでもある。そんな最低限のことすら言えない政治家が多いことこそ問題なのだ。






