令和8年09月19日付
東日本大震災の津波で大船渡市から流失した漁船の浮輪が、米アラスカ州の無人島で海岸清掃中に発見され、来月にも持ち主の村上金夫さんの元へ返還される―という話題の詳細は16日付の本紙にある通りだ▼津波漂流物が太平洋を横断して北米西海岸へたどり着いた末、持ち主が判明し日本に返還されたという事例は東北各地で聞かれる▼気仙でパッと思いつくのは、県立高田高の実習船「かもめ」が約2年間漂流したあと、米カリフォルニア州クレセントシティ市の海岸に漂着し、現地の人々の尽力で陸前高田へ戻してもらったことだろう▼また平成26年にも、今回と同じくアラスカ州に流れ着いた当時の気仙中のバレーボールを、現地の男性が返却しに来てくれたことがあった▼だがそうした善意―「これはあのツナミで流されたものだろう。日本に帰してやりたい」という気持ちは、発災からまだ間もない、大震災の記憶も薄れないうちだったからこそのものと思っていた▼それが15年半たった今も、持ち主を探しあて、戻してあげたいと思ってくれる人がいるとは▼発見と返却の知らせを受けた村上夫妻の感激やいかに。「海岸清掃の時にゴミとして処分してもよかったはず」という奥さんの驚きに共感する▼〝これは多分、誰かにとっての思い出〟―そう考えられる優しさに、胸打たれずにいられない。






