令和8年05月17日付

 『名探偵コナン』のメインヒロイン役を務めていた声優が亡くなり、長寿作品が持つ功罪について考えさせられてしまった▼少年誌で同作が連載開始したのは平成6年。TVアニメが始まってからは今年で30年を迎えた。だが原作はいまだ未完結だ▼20年以上毎年、大型連休の前後に大学時代の友人らと劇場版コナンの感想を語らうのが常となっているのだが、今年は声優の高齢化と病気が心配だという話で口火が切られた▼50代だった人は80代、30代だった人も60代なのだ。「メインの声優さんが元気なうちに本編をたたんでほしいよね」と話していた直後の訃報だった▼同作はドル箱だ。劇場版の興行収入も毎作100億円は手堅い。出版社もTV局も〝終わらせるわけにはいかない〟のだろう▼けれどアニメで30年も助演し、作品人気を決定づけた立役者が結末に立ち会えない・物語の最後を演じられないなんて、どうにも理不尽でくやしい▼同作では、展開にかかわる重要キャラの演者が、少なくとも5人亡くなっている▼このままでは物語が決着する前に主人公の声優も、いや、作品の生みの親さえいなくなってしまう可能性もないとは言えない▼原作者の意向だけでは動かせない大プロジェクトになった結果、〝国民的作品〟という評価と引き替えに、大事なものまで失ってやしないかと思ってしまうのだ。