令和8年08月23日付

 アバッセたかたに28日まで開設中の防災展示ブースに、東日本大震災発生直後の本紙を掲示していただいている▼平成23年3月12日付の号外に始まり、約3週間分。一覧で見ると、紙面の大半を占めるのが避難者名簿だとお分かりになるはずだ。混乱期に最も必要とされた情報でありながら、それを手に入れるのがいかに難しい被災状況であったかも▼主催者からは事前に「個人情報保護やご遺族、被災者への配慮を考えると、名簿の氏名は隠すべきだろうか」と相談を受けていた▼「私ならそのまま出す」と答えた。この場合、そうすることでしか伝わらないものがあると思うからだ▼「盛岡や一関の人もいたんだ。仕事で来て帰れなくなったのかな」「外国の人は言葉の面で苦労したろうな」など、名簿を見ると浮かぶ情景がある(名前が「●」で置き換えられている箇所も多いのだが、そうなっている理由もぜひ想像していただきたい)▼身元不明者の遺体情報も、文字列が多くを物語る。「10代女性。△△中のジャージ。ピンクの携帯電話」「5~6歳女児。身長102㌢」とあるのを見て、何も感じない人はおるまい▼氏名のみでも個人情報とされるため、クレームが入る可能性はゼロではない。けれど15年がたった今だからこそ、当時の状況に想像を巡らせ、思いをはせてもらえれば―主催者の願いもそこにある。