令和8年04月23日付

 「今、駐車場でイノシシを見たので帰る時は気をつけてください」…▼仕事を終えて退社しようとした社員が社内へ引き返してきて、こう声をかけたくれたのは20日の夜だった▼ちょうど17日付の紙面に、「住田町でこの春、早くもイノシシによる農作物被害」という記事が載ったばかりだったが、こんな身近での出没は正直、想定できていなかった▼確かにわが社はすぐ裏手に山が迫り、カモシカやタヌキのたぐいはしょっちゅう見る▼これまでなんとかクマとだけは遭遇せずに済んでいたが、獣の暮らしとの境界線際にあることを意識だけはしてきた。それにしてもクマより先にイノシシがお出ましとは…▼それだけ、イノシシの個体もどんどん増えているということだろう▼平成27年9月の小欄で、先代世迷言子が「いずれ時間の問題と思っていたが、ついに現実のものとなりそうである」という書き出しで、大船渡市内にイノシシの目撃情報があったことを記していた。住田でも同時期から生息の痕跡は確認されていた▼それから10年余り。気仙にもすっかり定着、繁殖し続けているわけだ▼農作物への被害もひどいが、対面した時を考えると怖い。イノシシの牙は成人の太ももの高さに位置し、それで大腿動脈を裂かれて失血死する事例もある。〝出合い頭〟の事故が起きぬよう、皆さまも外出時には警戒を。