令和8年07月31日付

 楽曲やメンバーのことは知らずとも、BTSというボーイズグループが世界的な人気を誇り、市場の記録も次々塗り替えていることは知っている▼そのBTSが、米国最大の音楽賞・グラミー賞へのエントリーを見送った▼主催者が今年「最優秀アジアン・ポップ・ミュージック・パフォーマンス」という部門をわざわざ新設したことへの、抗議の辞退とみられている▼これまでも非英語圏のアーティストに壁をつくっていると批判されることが多かった同賞。主催者の、この〝仕打ち〟の意味は素人にも推測がつく▼「セールス面でも人気面でもいよいよこのグループを無視できないが、〝権威あるグラミー〟の主要部門はやりたくない」「ならBTS受賞用に部門を作ってあてがってやれ」▼─今にもこんな声が聞こえてきそうだ。当たらずとも遠からずだろう。でなければあえてアジア人専用枠を設ける理由が見当たらない▼思えば「キング・オブ・ポップ」として音楽史上に名を刻む故マイケル・ジャクソンのビデオですら、黒人だからという理由で最初はMTVに放送を拒まれたという▼ヒット中のマイケルの自伝的映画にはこの時のエピソードも盛り込まれ、その偏見を覆すさまが描かれているというのに。同じような〝失敗〟を繰り返しているとみられかねないことに、主催者は思い至らないのか。