令和8年05月31日付

 カドカワの発行する月刊誌『ダ・ヴィンチ』が今年10月で休刊となる▼「本の楽しさを伝える」情報誌で、好きな作家やシリーズが特集されている時に買うことがあった。創刊32年にしてついにこの雑誌もなくなるか…と少々寂しい▼昔は(最近、昔話をすることがやたら増えた自覚はある)「本を知る手がかり」が非常に少なかった▼書店か図書館での〝偶然の出合い〟に頼る以外だと、近刊図書については日本書籍出版協会が発行する『これから出る本』という小冊子を見るか、出版社別の図書刊行目録を読むか―ぐらいだったのではないか▼だから『ダ・ヴィンチ』の存在を知った時は画期的に感じた記憶がある。とりわけ異色だったのは、小説だけでなくコミックスの紹介もした点だ▼カドカワは小説や漫画を原作とした映画化、アニメ化、ゲーム化など、いわゆる「メディアミックス」の先駆け的出版社だったし、紙媒体が売れれば映像作品も売れるというハラはあったろう。漫画が一つのカルチャーとして地位を不動にした時代だったとも言えるかもしれない▼雑誌という、広告ありきの媒体なので、いかんせん中身が宣伝に寄りすぎるきらいは否めず、特集内容の薄い号だってあった。だが同誌のおかげで出合えた本もある▼その役割はデジタルに移行するのだろうか。〝紙派〟には厳しい時代となった。