令和8年03月21日付
こんなにも「それはそれ、これはこれ」と言いたくなる出来事もない▼いわき市で11日、市内中学校で提供予定だった赤飯給食約2100食分が「追悼の意を表すべき日にふさわしくない」という理由で廃棄された問題だ▼クレームを入れた保護者というのも、もしかしたら震災で身内を亡くした人なのかもしれない。もしかしたらそれが自身の子どもだったのかもしれない。事情は知りようもないが、よほど祝ってほしくない思いが強かったのだろうと推察する▼だからここは「それはそれ、これはこれです」ときぜんと答えられず、〝ことなかれ主義〟で安直な判断を下した市教委を残念に思うよりほかない▼それでどうやって子どもらに「食物を粗末にするな」と教えていくのか。震災で食べるものに事欠いた経験を伝えていくのか▼何より、「どんなに悲しいことがあった日であっても、3月11日に生まれた人もいれば記念日を迎える人もいる。それをお祝いすることに罪悪感を持つ必要はない」と伝えるのが教育であろう▼むしろ、あの震災後にここまで子どもたちが成長してくれた喜びと感謝を、皆で分け合う節目ではなかったのか▼特に今回の卒業生は震災の年度に生まれた子たちであるとともに、小学校の卒業式もコロナ禍とかちあい、お祝いが縮小された世代だ。余計に我慢を強いてほしくなかった。






