令和8年10月22日付

 モンゴル東部のヌムルグ自然保護区で大規模な草原火災が発生している▼これまでの延焼面積は保護区全体の8割。東京都の2・5倍、富山県なら県土のすべてが焼け落ちるほどの面積というから、あれほどの苦難だった大船渡市や大槌町の林野火災さえ比較にならぬ、とんでもない事態だ▼出火原因は、日本企業の子会社でモンゴル最大の携帯電話会社「モビコム」の邦人幹部らが乗った車両とみられる▼保護区には希少な野生動物が数多く生息。民家は建てられず、家畜も入れないなど、立ち入りが厳しく制限される区域だ▼同社は「通信網整備の可能性を調べていた」とするが、出火地点は保護区の中でも特に立ち入り制限が厳重な中核区域であり、火災の起きやすい秋冬はさらにそれが厳しい。環境負荷軽減のため馬での移動を求められるといい、開発目的の企業に車両での進入を許可するとは考えにくい▼現地では、一行が狩猟や絶滅危惧種・アムールイトウの釣りを目的に保護区へ入った可能性があるとも報じた。モンゴルは事実関係を確認のうえ、賠償を求める構えだ▼この火災による自然環境への影響と損失は取り返しがつかぬほど大きいものだ。民間企業の落ち度だとしても、重大な国際問題に発展しかねない状況の中、発生から2週間となる今も日本側の反応は鈍く、報道も少ないのが気がかりだ。