令和8年04月19日付

 現代人が桜といって思い描くのはおそらく、ソメイヨシノだと思う▼フィクションに登場する桜も大抵がこの品種だ。公園や学校にあって最もよく目にするというだけでなく、色、形、大きさ、咲き方に散り方…すべてが桜として〝理想的〟と感じる国民が多いのだろう▼ところでこのソメイヨシノ、西と東では花の色が少々違うらしい▼温度と紫外線量によって、花弁の色を決めるアントシアニンの合成が変わるためだとか▼比較的高温の環境で開花する西日本では白に近い花色、低温で開花する北海道・東北はやや濃い色になる傾向があるそう▼もちろん、同じ地域でも年によって違いはある。「春先から好天が続いたし、花の色は薄いかも」「3月は寒かったから、今年は濃いめかな?」などと予測しながら開花を待とう…と毎年思いつつ毎年忘れてしまい、早くも花は散りかけだ▼一方、これから楽しみなのが山に咲く桜である▼桜の名所として名高い奈良の吉野山で見られるのは、地名通りのソメイ〝ヨシノ〟ではなく、大半がシロヤマザクラなどの古来桜。『万葉集』に詠まれた桜も基本的に山桜だ▼花の小ぶりな品種が多いのだが、それゆえにかえって、煙るように、霧のように咲く、幻想的な風景をつくりだす▼気仙でも山桜は数多く生えている。木々の芽吹きとの競演に、ぜひ目を向けてみてほしい。