令和8年06月18日付

 夏の上京が、以前よりしんどくなった▼移動、信号待ち。とにかく日影が─木陰が減っているのだ▼場所によっては街路樹がほとんど裸にされているのが目に付く。枝や幹を極端に短く切る「強剪定」といわれる手法が増えているらしいのだ▼通行を妨げるとか、電線にかかる場合は別だが、樹木研究者に言わせると強剪定は、樹勢が弱る・木が腐りやすくなるなどダメージが大きく、論外な手法という▼強剪定が増えた背景には、落葉や枝葉の管理でクレームを入れられたくない自治体の事情、行政内部に樹木専門家がいなくなったことなどが指摘される▼近年、気温上昇への対応は世界的な重要課題だ。夏場の直射日光が当たった路面の温度は50~60度にもなる。そこへ街路樹が木陰を広げれば約20度は低くできるとされる▼上から見た時に枝や葉が地面を覆っている面積の割合(樹冠被覆率)の目標を30%とする動きが海外の大都市で広がる。ところが東京の樹冠被覆率は7%前後で、さらに減少中だ▼昔は違った。街路樹は立派だし公園は自然豊かだしで、「東京って緑が多いんだなあ」と思ったものだ。それが今やソウル市の3分の1以下▼明治時代の計画において緑化都市を目指し、昭和期には環状緑地帯を設ける意義が説かれていた東京。まちの緑を守ることが住民も守るという原点に立ち返ってほしい。