令和8年02月09日付
民主主義を単純化し、「多数決で決める制度」と理解している人は少なくない▼多数決で決まったことに文句をつけるのは民主主義に反する、ぐらいに思っている人も結構多い。たとえそれが51対49と、ほぼ二分される結果の時でもだ▼だが本来の民主主義は、勝った51が、負けた49をどう背負ってゆくか問われる制度なのである▼これは79対21の時でも同じだ。多数決の結果が、多数派の専制や少数派切り捨てになってはならない。熟議し、着地点を模索する―そのための議会制民主主義をわが国は採用しているはずなのだ▼日本はナチス・ドイツやソ連、北朝鮮や中国のような全体主義の国ではないことを誇っているのだと思っていた。なのに近年は〝多数派・強者には黙って従え〟という言説が増えた。彼らにあこがれでもするかのようだ▼「数で勝ったら何をしてもいい。多数派こそが正義」という発想に毒された時、民主主義の顔をした独裁は生まれる▼「賛成多数の意見が常に正しいとは限らず、多数決の結果は議論によって逆転しうる」という民主主義の前提があるからこそ、誤っていた時も引き返せるのだ▼私たちは投票した候補・政党に全権委任するのではない。政治を監視し、評価し、時に自らの考えを改め、時に相手を批判して是正を求め―それこそが民主主義のあるべき形と示していくべきだ。





