令和8年08月20日付

 以前は小欄も公人の靖国神社参拝に賛成だった▼A級戦犯が合祀されているとはいえ、戦没者を追悼して何が悪い・不戦の誓いを立てるために行くのでは?と。いやはや―上皇さまや天皇陛下が参拝されない背景をおもんぱかるべきだった▼靖国が祀るのは軍人・軍属中心で、空襲や原爆、沖縄戦の犠牲者とは無関係だ。つまり、政治的意図がなく、本当に戦没者追悼を目的とするなら、行くべきは国営・無宗教の慰霊施設たる千鳥ヶ淵一択である▼ましてや靖国自体が「英霊は神であり参拝者が『冥福を祈る』などおこがましい」といい、追悼施設ではないと明言している▼神社と名はつくものの、神社本庁にも属さないイチ宗教法人たる靖国が目指すのは、大東亜戦争を「正義の戦い」とし、軍人が国家のために死ぬのを美徳とする歴史観の称揚。参拝はイコールこの歴史観の肯定となる▼靖国の職員有志の主張というサイトには「今後海外派兵が盛んになり自衛隊の殉職者も増えようから、改憲して正規の『日本軍』になれば平等に合祀してやれる」「誰を合祀するか、遺族の意見を聞く気はない。英霊は遺族だけの独占物ではない」といった驚愕の文面が並ぶ▼すなわち、過去のみならず未来にも〝英霊〟を祀らんとしているのだ。内外に「大戦の反省がない」と言われるのもむべなるかな―と背筋が寒くなる。