令和7年12月04日付
現在、米は5㌔で5000円前後。わずかの間で一気に2倍だ。備蓄米もほぼすっからかん。コメ政策の抜本的見直しが求められる時局というのに、前政権が決めた増産を白紙撤回し、おこめ券配布でお茶を濁す気なのか▼鈴木農水相は「需要に応じた生産が基本。需要がないのに生産量を増やせば米価が下がる」とする。理屈だけ聞けば正しい▼だが現実には米価高騰を受け、主食を麺類に切り替えるといった典型的な代替効果、需要蒸発が起きている。現在の需要は真の需要ではない▼「需要に応じた生産」とは一体何を指すのだ。米価維持のため莫大な税金を投じて生産調整を行った結果、生産者は減り、農地は荒廃し続ける。需要の拡大もおろそかになった。今後、新規需要を開拓するにしろ、農作物は工業製品と違い、増産しろ・減産しろと言われてすぐできるものではないのだ▼おこめ券自体を配布しないという自治体も出てきた。大阪府交野市長は「特定の人への露骨な利益誘導」「経費率も高く物価高騰対策には不適切。農水相には意地でも屈しない」とする▼農業を脆弱にしておいて「市場原理に任せる」などとこのまま手を打たねば、農家、卸、消費者─皆が疲弊する▼生産調整で米価を高止まりさせる政策から、米価を下げたうえ、農家の所得補償するといった政策転換が必要ではないか。






