令和7年11月19日付
大船渡東高・食物文化科については問題を先送りしただけ、高田高・海洋システム科に至っては〝ゼロ回答〟という、到底「地域住民の願いをくんでもらった」とは言いがたい状況に失望を禁じ得ない▼県立高校再編計画修正案が公表された。先の2科の募集停止時期は、食物文化が令和10年度から12年度に後ろ倒しとなったものの、海洋システムは当初案のまま。最終案は来年2月に公表予定だが、ここから〝大逆転〟を図ることは厳しい局面だ▼他地域でも住民らが学科等の存続を願って要望書を提出するなどしたが、それを受けてなお県教委は「内容を変更する妥当性や合理性がない」とした。うすうす察してはいたが、やはり最初から統合方針を変える気はなく、意見聴取も形だけのものだったのだと感じる▼食物文化の延期とて、宮古水産の受容態勢が整わないことが主な理由であり、大船渡市人口の半数近くにあたる署名が重視されたとは言えないこともくやしい▼最初の募集停止案の発表以降も、食物文化の生徒らの活躍が紙面を飾ってきた。陸前高田における新しい水産の取り組みは、若き担い手抜きでは成り立たぬ▼県よ、これは教育だけの問題ではないのだ。農林水産業を最重要基盤とする岩手が次代の育成を軽視・放棄するに等しく、ただでさえ衰退する地域から活力を奪うことにほかならない。






