令和8年08月04日付

 折れた煙突の写真や映像をみるたび、胸が苦しい。日本製紙八代工場が受けた被害は、同社から新聞用紙を仕入れている小社にとっても人ごとではない▼震度6強の揺れを観測した熊本県八代市にある同工場では、従業員9人が犠牲となった。何よりもまずは、亡くなられた方のご冥福をお祈りし、同社に衷心よりお見舞い申し上げる▼遠くからでも目に付き、「まちのシンボル」として親しまれてきた赤と白の煙突―こう書くと、親近感を覚えざるを得ない。大船渡市民にとっては太平洋セメントの煙突を失うようなものなのだと考えれば、八代の人たちの受けたショックは想像に難くない▼実は数年前、お世話になっている洋紙の専門商社を通じ、同工場を見学に訪れる話があった▼コロナ禍と重なってしまい中止になったのだが、日本製紙からも「別の機会にぜひおいでください」と声をかけてもらっていた。その際には、平成28年の熊本地震を経験した地元新聞社も訪問できたらと考えていたのだ▼その機会を、もしかしたら永久に失ったのかもしれない―そう考え、すぐに否定した▼宮城の同社岩沼工場が代わりに新聞用紙を供給し、国内の製紙会社も生産減をカバーするというが、願うのは八代工場の復旧だ。紙媒体が衰退の一途をたどる中、厳しく長い道のりなのは承知のうえで、復活を応援している。