令和8年03月08日付

 「気仙辺辺の春を探して」は、陸前高田イタルトコロ大学による大学生向けプログラムだ▼県内外の学生が地域住民の案内を受けながら気仙ならではの春の風物詩を探し、PRポスターを手がける。4回目となった今年は6~8日まで、12人の学生が滞在している▼活動初日の6日、今年初めてオオイヌノフグリが咲いているのに気付いた。本格的な春の訪れを告げる、愛らしい先触れ―あの光るように澄んだ青い花を見て、「これは学生たちが呼び込んだ春、もたらした明るさだなあ」と率直に思った▼東日本大震災があって以来、3月が来るのは今でも怖い。内にも外にも、苦しさと向き合わねばならぬ時期だからだ▼けれど毎年この季節にいろんな地域から若者が訪れるようになり、風向きが変わった。彼・彼女らが地元の人々と交流し、心を通わせ、私たちの知らない気仙の魅力を見つけてくれるようになったおかげだ▼若者たちが当地を訪ねるきっかけとして、もうそんなに震災は意識されていないように思う。だがそれでいい▼理由がなんであれ、ここへ来てくれた人たちが見聞から何かを感じ取り、持ち帰ってくれることが一番重要なのだから▼3月が、ただつらいばかりの時期ではなくなった。毎年、新しい出会いがある。また気仙のファンが増える―そのうれしさと春の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。