令和8年01月11日付
「せっかく助かった命なのだから、無駄にしてはいけない」▼東日本大震災のあと一体何度、そんな言葉を異口同音に聞いたことだろう▼未曽有の大災害によって、人々の運命は大きく分かたれた。あの日、生死の境目は自分のすぐ足元にあった。死と隣り合わせになる経験は、日々を当たり前に生きられることの稀有さ、尊さを際立たせた▼だからこそ生き残った人々はこう言ったのだ。命を無駄にしてはいけないと。生き残ったからには生きるべきで、またできることならその命の火を、他者の命を守るために燃やしたいと▼当時、警察官や消防署員、医療従事者…そして自衛隊員になることを目指した子どもたちが大勢いたことを忘れない。差し伸べられた手によって救われ、生かされた子らが「自分も誰かを助けられる人になりたい」と言って旅立っていったことを▼絶対に戦争なんかしたくない・させてはならないと強く訴える理由など無数にあるが、ほとんどはこの一点に集約されると言っても構わない▼あの子たちを知るからだ。「たくさん助けてもらった。今度は助けられる側になりたい」と目を輝かせていた彼らに、人殺しなど決してさせてなるものか▼きょうで震災から14年10カ月。あす「成人の日」を迎えるにあたり、若き世代にこれだけは伝えたい。一つしかない命を大事に、生きてほしいと。






