令和8年09月04日付
米が安くなった▼正直、助かる。物価が上がり続ける中、去年は米の消費量を減らすしかなかった▼だがわれわれにはありがたい値下がりも、生産者には深刻な打撃だ▼米農家は、販売価格が決まってから米作りを始めるわけではない▼いくらで買い取られるか分からずとも、肥料や農薬、燃料、機械などの経費は必ずかかる。田植えをし、天候や病害虫と戦いながら約半年間管理を続け、ようやく収穫が見えてきたころにその年の価格を知らされる▼価格が下落しても、肥料や燃料高騰の負担は米価に反映できず、農家が背負う▼こんな状態を続けていては、作り手がいなくもなる。生産が不安定となり、再びの価格暴騰、やがては主食としての危機を招く▼米が安いと消費者は助かるが、農家は苦しい。高ければ農家は助かるが消費者が苦しい…そうして国民同士で負担を押し付け合うこと自体、実はおかしいのだ▼米は単なる商品ではなく、食料安全保障を支える〝基幹インフラ〟だ▼食料自給は安保の根幹。供給が絶たれれば民が飢える。だからそれを外交カードとされぬよう、諸外国は農業を支え、安定的に流通させるため税金が投入されている▼軍事分野で〝普通の国〟を目指すというわりに、戸別所得補償で農家の所得を支え、消費者に安く供給するといった〝普通〟もできない国が、強くなどなれようか。






