令和8年11月03日付
11月3日は明治天皇の誕生日であり、日本国憲法の公布日である▼戦争を放棄したわが国の、平和と文化を重んじる憲法の精神にのっとり、この日は「文化の日」と名付けられた▼目下、これを「明治の日」に、という動きがある。「明治に対する国民の思いを甦らせ」るためという▼この運きに関わるのと同じ層が推進してきたのは、先の皇室典範改正、国旗損壊罪、不敬罪復活論、選択的夫婦別姓の絶対阻止など。つまり背後には超保守思想がある▼国民に主権がなく、支配層と被支配層がくっきり分かれていた時代。女性には参政権もなく、弱者は淘汰された時代▼徴兵令が始まり、軍事費が国家予算の8割以上を占めた「国民皆兵・富国強兵」の時代。国民は国家に従属する存在であり、個の権利や自由など追求するものではないとされた時代―▼どう見ても庶民にとっては不自由そのものの明治期だが、その時代への回帰こそ日本の理想、と信じる人が少なくないことも否めない▼「文化の日」を「明治の日」として位置づけようとする運動は、「国民は国家のために尽くすのが最高の美徳」という明治の国体観を再び浸透させ、国民主権・平和主義・基本的人権という、憲法の三大原則を薄める足掛かりと見る▼しかし、わが国の文化は現行の平和憲法下でこそ守られてきたのだということを忘れたくない。






