令和8年06月12日付
本紙はこの春から「クマ出没・目撃情報」として、出没場所・日時・頭数等の一覧掲載を始めた▼そんな専用コーナーが作れるほど、彼らとの遭遇が身近になってしまったということだ▼11日は朝4時~8時台だけで計4回、大船渡市の防災無線で出没の注意喚起が流れた。しかもこのうち3回は大船渡中のそばだったこともあり、子どもたちの安全が脅かされる恐怖を感じた▼里に下りた個体は早々に駆除してほしい―そう願ってしまう一方、先日NHKで見た『ヒグマ 異変の海に生きる』と題したドキュメンタリーが頭から離れない▼地球温暖化に伴い、ヒグマたちの食べるものが恐るべき速さで失われている状況を追った番組だった▼骨と皮だけになったヒグマの姿を見て、人類など一撃であやめられる獰猛な生き物―そんなイメージが吹き飛んだ。クマだって、ただ生きようとして生きているだけなのだと▼北海道のヒグマと本州のツキノワグマでは環境も生態も異なるが、大本にある問題は同じだ。人の営みこそが彼らから糧を奪い、山と人里の境界を壊してしまった―▼現実を見もしない保護団体のように「クマを殺すな」などと言う気は毛頭ない。増えすぎた個体数を調整せねば、安全はままならない▼しかしクマが山中だけで生きられる環境を取り戻し、境界を引き直す努力もまた、人がすべきだろう。






