令和7年12月03日付
維新が強く求める衆院の定数削減というのは、何が目的で誰が得する話なのだろう▼少なくとも国民が得しないのは確実だ。以前も書いた通り、当選人数が減れば2世・3世議員や有名候補だけ有利になり、志ある無名の新人が国政へ参入する壁は高くなる。国民の、とりわけ地方の声は確実に届きにくくなる▼先の選挙の争点でさえなかった定数削減を、維新が選挙後に突然「わが党の1丁目1番地」と言い出したのは本当に謎だ。それを誰が望み、支持したことがあったというのか。彼らの「1丁目1番地」は確かにコロコロと変わってきたが、それまでは企業・団体献金の禁止を掲げていたはずなのだ▼国会議員を減らして削れる歳費などたかが知れている。特権の多い議員を締め上げてやりたいという国民感情から、定数削減は人気取りになるのだろうが、献金禁止を取り下げた行為とは矛盾する▼最大の問題は「協議がまとまらねば自動的に議員定数を1割削減する」と盛り込んだ点だ。結論が出なくても自動的に、つまり一方的に押し通してしまえとは、なんたる暴挙!民主主義をなんと心得るのか▼定数のうち特に比例が減ると少数野党は不利だ。国会の監視機能は弱まり、与党が強権的な力を持つと予測される▼そして早くも今の時点から「ああ、本当にそうなるのだろうな」ということが目に見える。






