令和8年03月20日付
11日夜、高田松原津波復興祈念公園で見上げた星空は、とても美しかった▼同園で行われた催しを取材中のことだ。その晩は市民らの制作したランタンが、約1000個ともされていた▼だがそれらの明かりにもかき消されることがないほど、その日の星は強く瞬いていたのだ▼見物人らもそれに気づいた様子で、時々周囲から感嘆の声が上がった。孫が描いたランタンを見に来たという女性に感想を聞いた時も「今夜は星がきれいで」という話になった▼そしてそのあとに続く「3月11日の夜が思い出された」という言葉に、何度もうなずいた。やっぱり同じことを感じた人がいたんだなあと▼すべての電気が失われた15年前のあの夜も、怖いぐらいに星が美しかった▼その女性は重ねてこう話してくれた。「今も海とともに暮らし、毎日海と向き合っていて、時々『なんでこの海がなあ』と思う。生きている限り3月11日を忘れることはないけれど、星を見ていたら、改めていろんなことを考えた」と。悲嘆ではなく、むしろしみじみとした感情が含まれた声だった▼今も女性は高田松原防潮堤の向こう側に行ったことがないという。「心の距離」と、自身で表現されていた▼「でもこうして出てきてみたら、思いがけずきれいな星空を見られた」―。防潮堤の向こうとの距離はこの夜、少し縮められたのだろうか。






