令和8年09月16日付
今月1日の「防災の日」―発生から103年となった関東大震災の日、千葉県の在日本大韓民国民団市川支部に、カミソリの刃と現金15円50銭の入った郵便物が届いたという▼血の気が引き、暗い気持ちになった。そこには底知れぬ悪意、害意しかないからだ▼関東大震災の直後、デマによって暴徒化した自警団が人々に片っ端から「15円50銭」と言わせ、うまく発音できなかった者を朝鮮人とみなして殺した。郵便物は、この虐殺を想起させるための脅迫とみられる▼差出人は、いまや流通していない50銭紙幣をわざわざ入手し、カミソリを仕込み、ポストに投函する間、われに返ることは一瞬もなかったのか。差別だか怨恨だか、何かしら憎悪の感情を向ける民族が不快で絶望的な気持ちになるところを想像して、愉悦に浸っていたのか▼送った張本人のうっぷんはこれで晴れたろうか。してやったりと満足しているのだろうか。どうもそんな気はしない。満たされない何かを抱えたまま、次は誰をどんなふうに攻撃してやろうかと暗い情念を燃やしているように思う▼差出人はまだ捕まっていない。よしんば捕まっても罪としては軽微なのだろう。ただ社会としてヘイトを認めないということは示していかねば。なぜか?ヘイトは必ず実際の犯罪に発展するからだ▼約100年前の過ちを、繰り返させはすまい。






