令和8年09月13日付
昭和末期、『幽幻道士(キョンシーズ)』という台湾映画が日本で人気を呼んだ▼いわゆるゾンビであるキョンシーから人々を守るため、特殊な訓練をした「道士」が存在する世界観だ▼優れた道士の才能を持つテンテンという少女を中心に、チビクロ・スイカ頭・トンボといった通称の少年たちがキョンシーとすったもんだする物語は日本でTVドラマにもなり、お茶の間の話題をさらった▼人気の最大の要因はテンテンの勝気な美少女ぶりだろう。同世代の男子はそろってお熱だったし、女子もみんな彼女にあこがれていた▼本国でもトップ子役だったというそのテンテンが…元俳優のシャドウ・リュウさんが今度、台北市議選に出馬すると知った時は仰天した▼よくある〝有名人枠〟ではない。芸能界をやめた彼女は40歳から8年間、市民の陳情や請願を受ける市議事務所に勤務。提案書や質問書、法案を書きながら社会福祉士の資格も取ったという―本名を伏せたまま▼父も兄も有名俳優である彼女は、自らの名が裏で人を支える仕事にはプラスにならないと感じていたという▼だが現状の制度では救えない人々を助け、社会にもっと尽くすために本名で出馬しようと決めたそうだ▼幼いころ皆のあこがれた賢くて強いヒロインが、さらに聡明で包容力ある人となっていたことが、たとえようもなくうれしい。






