令和8年07月28日付

 奈良県にある「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録が決定した▼飛鳥宮跡・藤原宮跡は東アジアの古代国家形成期、中央集権体制の成立した過程を具体的に示す文化遺産。登録は日本のほまれである▼奈良出身の高市首相も鼻を高くし、すぐさまXに喜びの声を投稿していたが、自身で皮肉を感じないのだろうか。そこが推古、持統、元明ら「天皇の娘」たる女性天皇が統治した地であることと、強硬に改正した皇室典範が矛盾することにだ▼女性初の天皇として即位した推古。藤原京で即位し、中央集権体制を確立した持統。平城京へ遷都し和同開珎も鋳造させたのは元明だし、元明から元正へは史上初の母娘皇位継承も行われた▼天皇の娘ではないが皇孫の娘である皇極(斉明)は、大化の改新で現代につながる国家体制をスタートさせた天智、また天武の生母として、古代日本の改革期を先導した人物だ▼首相は「世界の宝となった貴重な文化遺産を着実に次世代へ引き継いでいく決意を新たにした」というが、女性天皇の存在に触れずして、この時代の歴史を語り継ぐのは不可能なのである▼今後、海外からも一層多くの人が奈良を訪れるだろう。その人々に「なぜ現代では女性が即位できなくなったのか」と尋ねられたらどうするつもりか。「男系男子だけで受け継がれてきた」という創作はそこでは通じない。