令和7年05月13日付
信じられないの一言に尽きる。〝証拠隠滅のために公文書を廃棄した〟などという国民への大逆が、こうも堂々と語られるとは▼学校法人森友学園への国有地売却をめぐる文書改ざんを指示された近畿財務局職員が自殺した問題。この調査にかかり、財務省が検察庁に提出した関連文書の一部が欠落していた▼改ざんを強いられた職員の遺族が欠落文書の開示を求めると、財務省は「理財局の指示を受け、政治家関係者との応接録を紙・電子媒体ともに廃棄した」と回答。その理由を「国会で森友学園案件が大きく取り上げられる中、さらなる質問につながる材料を極力少なくしたかった」と答えたのだ▼「公文書等は国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録であり、国民共有の知的資源です。このような公文書等を適切に管理し、その内容を後世に伝えることは国の重要な責務です」▼―内閣府のサイトにはこう明記されている。その責務を放棄し、〝国会で追及されたくないから〟という理由で官僚に国民の共有財産を捨てさせ、隠ぺいが図られたというのか▼国民の信託を受けた最高機関たる国会の調査権を逃れようとした、許されざる事件だ。〝成績の悪かった児童が怒られたくなくて通知表を捨てた〟のとはわけが違う▼これで関係者が厳罰に処されないようならば、この国はもうめちゃくちゃだ。