令和8年07月16日付

 小売りされた商品を買い込み、転売することで荒稼ぎする「転売ヤー」。それで生計を立てる業者から、若者の〝小遣い稼ぎ〟まで、現代社会の新たな病理として津々浦々にはびこる▼今週発売の『週刊少年ジャンプ』33号も転売ヤーのせいで売り切れが続出。付録カードが本体価格以上の高値で取引されている▼推しグッズに限定品…「どうしても欲しい」という心理に付け込んで、買えない(買いにくい)状況を意図的に生み出し、儲ける─さもしいとしか言えない手法である▼だがどんなあざけりも転売ヤーには響かない。モラルに訴えても無意味だ。何しろ現状、法的規制がないのだ。自分たちは〝バイヤー〟であり、買い占めは〝仕入れ〟と居直るだけ。合法で楽に稼ぐ方法を手放すわけがない▼今回の雑誌購入に関しても「1人1冊/取り置き不可」などの対策をした小売店も多かったが、定価で売れるなら誰に売っても同じと考える店もあろう▼出版社にしても、雑誌不況の中、完売はまれに見る僥倖かもしれない。だが連載の続きを楽しみにしている読者が本誌を買えない状況をつくることは、長期的に見れば何ら好ましいものではない▼一時的な売上ほしさに本来の購読層をないがしろにすれば、自社製品や文化の衰退を促進させかねないという視座に立ち、企業側も対策に取り組む必要がある。