令和8年11月07日付

 6月に始まった本紙企画『気仙丸 未来へ』が6日、ついに最終回を迎えた▼大船渡町に陸上展示中の木造千石船・気仙丸の大規模改修が本格化したのを機に、この船がいつ、どういう人々の、どんな思いで復元されたのかを振り返りながら、未来にどう残していくべきかを問い直す―担当記者がどれほどの熱量を込めて書いたかは、40回という連載回数を見ればお分かりいただけよう▼一読者として読みながら、内容があまりにも多岐にわたったため最後はどこへ向かうのだろうと思っていたが、気仙の山林資源と絡めた締めくくりだったのを見て、腑に落ちるものがあった▼大規模林野火災の被災木を気仙丸の保存・活用に利用できないかという提言は、林野火災と森林再生を中心的に取材してきた担当記者ならではの視点だと感じられた▼その点も踏まえながら考えてみると、気仙丸にまつわる課題は別の地域課題とも密接に結びついていると気づく▼木材の活用、ひいては林業の再振興もしかり。古い技術や文化の断絶危機、取り組みの途上にある「あわび王国」のまちづくりと、市街地のにぎわい創出、世界情勢の悪化による影響…気仙丸を起点に、さまざまな課題が浮かび上がる▼気仙丸の向かう未来は、地域が向かう未来と重なり合う。それゆえに、船の今後に対する市民の関心も高まってくれたらと願う。