令和8年02月20日付

 図表が増やせるとか軽量だとか、メリットも多い。半面、デメリットや悪影響の大きさを熟議すべきだ。教科書のデジタル化は▼政府は4年後、デジタル教科書の導入を解禁する方針だ▼タブレットを使いこなし、プレゼン資料も瞬く間に作る児童・生徒を見ていつも感心する。しかし学習がデジタル偏重になると、思考が深まらず記憶も定着しないことが分かってきた▼デジタルを積極導入した海外ではすでに、子どもの学力低下、短気になるといった心身の荒れが顕在化し、見直しの動きが相次ぐ▼国際学習到達度調査(PISA)でかつて世界1位の読解力、数学応用力などを誇ったフィンランドは、デジタル活用開始から約20年間でどの能力も9位~20位に転落。紙との併用に戻した▼スウェーデンも紙の教科書へ回帰。PISAで現在トップを走るシンガポールは、心身が未発達の子どもには悪影響と、5年前から小学生には端末を配っていない▼こうした状況を踏まえると、日本だけ逆行している。紙の教科書をなくすわけではなく併用とのことだが、「デジタル教科書の導入」がまず決定事項としてあり、想定される悪影響と対策は後手後手だ▼現状でも授業中、端末を使って動画視聴やゲームをする子がいたり、盗撮、SNSトラブルも多い。これらへの対処が先決で、導入には慎重を期すべきだろう。