令和8年09月10日付

 大船渡市の東朋中で先日、基本的人権を学ぶ講演会が開かれたとの記事があり、講師が語った言葉の一つ一つ、生徒たちにずっと覚えていてほしいと思いながら読んだ▼人権とは、人が生来持つ自由・平等・幸福を希求する権利である▼しかし日本人は先進国でも人権意識が低いと言われる。それは「権利には義務が伴うもの」という誤解が根強いためだ▼国民の三大義務である教育・勤労・納税。これらを果たさない者に何かを求める権利はない─と信じる人が多い▼勤勉とされる国民性もあだとなるのか、「努力してきた私、国に貢献している私の権利が守られるのは当然だが、そうでない人も同じだなんて」という思考を生みやすい。生活保護バッシングなど、その最たるものだ▼この傾向は為政者にすると大変都合がよい。人権意識が高い国は民がすぐ政府に抵抗するが、〝働かざるもの食うべからず〟と国民が思い込んでいてくれれば、弱者を切り捨てても勝手に我慢してくれるからだ▼けれど人権は天賦のもの。命と同じだ。他者が奪っていいものでも、何かと引き換えに与えられるものでもない。命と同様に人権も、守られそうにない場合は抗っていいのである▼講演会では「今も海外には人権が当然ではない国がある」という話が出たという。願わくば日本はいつまでもそうならずにいてほしい。