令和7年12月12日付
政府は来年、防衛財源としての所得増税を検討中という▼物価高対策に全力を注ぐとか、企業は賃金を上げるようにと言うその同じ口で、国民生活をさらに貧しくしますと宣言するようなものではないか▼10月の家計調査における消費支出は、物価変動の影響を除いても前年同月より3・0%も減った▼詳細を見ると、自動車は中古か軽を買い、通信料は格安プランに切り替え、食料は買い控え…。節約に節約を重ね、それでもこれ以上消費に回す余裕が、庶民にはもうないのだ▼特に現役世代は割を食っている。ここへ来て小学校給食の完全無償化は見送り、高校生の所得控除も縮減で検討…▼何のために賃金を上げたと思うのか。従業員の手取りを増やすためだ。国にかすめ取らせるためではない▼世界の、そして日本の歴史を見ても、防衛目的で所得税を上げるのは戦時下の手法だ。戦費調達に〝やむをえない〟措置とされてきた▼戦時下でもなく、物価は少しの間に1・5~2倍近く上がり、手取りも増えないのに、国から一方的に尽くせと言われて納得できるのか。「欲しがりません勝つまでは」と耐えるのが美徳だった時代に再び戻る気なのか▼経済活動が滞るほど国民から搾り取り、飢えさせ、それで守りたいものとは?どんなに強い武器を持っても、民の生活防衛なくして国防も国力もないものだ。






