令和8年10月25日付

 二十四節気の「霜降」を過ぎ、2週間後にはもう「立冬」─なんと、暦のうえではまもなく冬なのである▼どうりで朝晩の寒さが身にこたえるようになってきたわけだ─と思わず両腕をさする。一雨降るごとに秋は深まるというが、台風の影響を受け、週末の天気は今一つのよう。これでまた季節が進みそうだ▼それにしても、この秋は雨がよく降った。特に9月は晴れた日など数えるほどしかなかった▼秋へ移ろう時期に長く雨が降り続く時、気象情報では「秋雨前線が日本付近に停滞して」と解説される。「秋雨のせいでじめじめする」なんて言葉は私たちもしばしば使う▼だが数十年前までこれは正しい表現ではなかったらしい▼秋の始まりのころ、梅雨の時期と同じく気圧の谷ができ、ここに前線が停滞したり低気圧や台風が通って雨がちになるような天候は、秋雨でなく「秋霖」と呼ばれていた▼今では辞典にも秋雨と秋霖はほぼ同義で載っているが、昭和43年刊行の『くらしの歳時記』によると、秋霖に対応するのはあくまでも梅雨で、秋雨に対応するのが春雨。秋霖があけて冷気を覚えるようになったころ、ひっそりと物寂しく降るのが秋雨であり、はっきり区別すべき─とある▼確かに、台風の影響で降る雨と、冬の手前に降る、か細く冷たい雨は違う。秋霖と秋雨、今後は意識して使い分けてみたい。