令和8年03月22日付
イランのアラグチ外相がきのう、ホルムズ海峡通過について日本側と協議を開始したと明かした▼駐日経験もあるアラグチ氏が、イラン国内の強硬派を抑えつつ、日本の事情も踏まえ、あちらから交渉の門扉を開いたのだろう。通行料を支払って通過の安全を担保するような、現実的な形に落とし込んでくれることを期待し、協議の行方を見守りたい▼何せ日米首脳会談で日本は、アラスカ産石油の採掘に11兆円投資すると決めてきた▼11兆円で原油を買うのではない。国家予算の10分の1近くを支払ってこれから採掘を始め、利はあらかた米国に吸い取られたうえ、残りを少し分けてもらえるという、ありがたいお話をいただいただけだ▼アラスカから原油が届くとしても数年~20年先と見込まれ、現在の危機脱出の手だてにはならない。そもそも埋蔵量が少なく、輸出に回す余力はないと指摘される。また日本の製油所は中東の原油精製に最適化しており、新たな設備投資も必要だ▼結局、中東との関係維持抜きでは早晩立ちゆかなくなる。それを分かったうえでイランがまだ交渉カードを切ってくれるのは「日本政府は戦争当事者の片棒を担がず、終戦の仲介を」と訴えているのだと理解せねば▼日本にしかできないと期待される務めを果たして存在感を示し、自国民を救う最善策を選ぶことが政治の役割だ。





